11月英語論文【Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) and Mental Health for Children and Adolescents】
Ezra Golberstein, Hefei Wen, Benjamin F. Miller., JAMA Pediatr. 2020;174(9):819-820.
〈要約〉
アメリカの様々な地域において、新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行によって引き起こされる公衆衛生上の脅威に対応するために前例のない措置を講じている。社会的距離を促進することを目的とした措置の中で、多くの学校が閉鎖され、授業は在宅遠隔教育に移行した。最初の学校閉鎖は2020年3月中旬に始まり、一部の州では学年度の残りの期間、すでに学校を閉鎖している(3月時点で)。米国の幼稚園から12年生までの5,500万人の生徒のほぼ全員が、これらの閉鎖の影響を受けている。学校の閉鎖は、生徒とその家族の生活を大幅に混乱させ、子供の健康に影響を与える可能性がある。そのため、学校の閉鎖が子供の幸福と潜在的に関連していることと、それらを軽減するために何ができるかを考慮する必要がある。学校が果たす潜在的に見過ごされている役割の1つは、ヘルスケア、特にメンタルヘルスサービスの提供である。学校は長い間、多くの子供や青年にとって事実上のメンタルヘルスシステムとして機能してきた。2014年のNSDUHの分析によると、青年の13.2%が、過去12か月間に学校で何らかのメンタルヘルスサービスを受けており、これは300万人の青年に相当する。新型コロナウイルスの感染拡大により、家族の収入が少ない、または公的医療保険に加入している人種的および少数民族グループの青年は、学校の環境からのみメンタルヘルスサービスを受ける可能性が非常に高かった。以上のことから、学校関係者は新型コロナウイルスによる子供のメンタルヘルスサービスの短期的な混乱に対処するための対応を検討すると同時に、長期的に子供のメンタルヘルスサービスを改善するための基礎を築く必要があるということが示唆された。
〈感想〉
今年度の子ども班論文は、コロナウイルスによるストレスの影響に関するものを執筆したため、他国の子どもにおいてコロナウイルスによる影響が子どものメンタルヘルスに与える影響および解決策について書かれている論文を読んだ。まず、この論文の対象とされているアメリカにおいて、常時メンタルヘルスサービスを受けている生徒が多いことに驚いた。また、本論文の中でも指摘されているように貧困家庭に位置する生徒は特に大きな影響を被っているというのは、日本においても言えることであると思う。その反面、アメリカは比べてオンラインにおけるサポートが導入されているということも記されていたため、日本はその点で遅れをとっていることが感じられた。
学校が再開し、休校期間に比べればクラスメイトに会うなど活動範囲は広がったが、感染者数は再度増加傾向にあるため、元どおりの生活には戻れない。そのような中で、いかに非日常を日常と化し、ストレスのない生活を送ることができるのか、私たちが学校に介入する中でできることから心がけてみたいと思った。
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