1月書籍【私たちは子どもに何ができるのかー非認知能力を生み、格差に挑む】
〈内容〉
近年、教育分野では数値として測ることができる「認知能力」ではなく、その「認知能力」に対するやり抜く力・好奇心・自制心のような「非認知能力」に関心が集まっている。本書では、「非認知能力」を育む方法が海外の事例を用いて具体的に示されており、これは日本の問題にも通じる内容がある。また、平成28年度の国民生活基礎調査によると、日本の子どもの貧困率は約14%で日本でも7人に1人の子どもが貧困ライン以下で生活しているといわれている。こうした子どもの貧困問題は、「非認知能力」を獲得する機会を失う原因になる。この本では、2年にわたって非認知能力を育む研究を行い、その結果をもとに家庭、家庭外の人間関係、学習指導を行ううえで「子どもにとって本当に必要なこと」がたくさん詰まった一冊である。
〈感想〉
この本は、子どもの親だけではなく、教育関係者や従業員の上司など教育に携わるものにとって非常に重要なことが書かれているので、中学生と接する機会が多い私たちに多大な気づきを与えてくれる本であると思った。特に興味深かった部分は、貧困家庭で育った子どもの非認知能力の低さは知的刺激の少なさだけではなく、ストレスにもあるということであった。3歳までに受けたストレスや逆境というのは、子どもの未知や脅威に対するストレス逃避反応というものを助長してしまい、想像力や思考力、探求心への粘り強さを成長させる機会を奪い取ってしまうというのだ。また、私自身最近の中学生を見ていて「無気力」的な要素を感じられることが多々ある。そこでこの本で紹介されているやる気を起こすための3つの動機付け「自立性(自分でやっているという意識)」、「有能性(自分はできるという意識)」、「関係性(自分は認めてもらっているという意識)」を学習サポートや各プロジェクトの中で取り入れながら、活動していきたいと思う。
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