検索
3月書籍【教育にエビデンスを】
「学力」の経済学 中室牧子(2015)
『教育にエビデンスを』。これがこの書籍を通して著者が主張することである。
・ご褒美によって子どもの勉強意欲を掻き立てるのは良いのか。
・子どもは褒めて伸ばすべきなのか。
など、教育に関するこれらのトピックに対して、子どもの保護者や教育者は様々な意見を持つ。しかし、その多くは「主観」や「個人の経験」に基づくもので、客観的なデータやエビデンスを踏まえずに議論される。このような現状を踏まえ、教育経済学者である著者は教育に関する様々な実証研究を紹介し、今まで教育の現場において自明だと思われていたようなことが実は経済学的な観点から見ると正しくないことが明かされていく。
〈感想〉
先に紹介したような内容を、「経済学を知らない人でもわかるように」述べられている印象を受けました。例えば、ミクロ経済を学んでいれば誰もが知っている「インセンティブ(何かしらの意欲を引き出すための外部的な刺激)」などの専門用語の説明がきちんとされており、更に我々からすれば馴染み深い「関数」を用いた考え方もシンプルな図を用いてわかりやすく解説されており、いたるところに工夫が見られました。
また、以前ゼミの課題図書で読んだ「その問題、経済学で解決できます。」を彷彿とさせるもので、誰もが馴染み深いトピックを経済学の理論や統計学的な手法で分析する面白さを伝えるという点でその役割は大きいと感じました。
Comments