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4月日本語論文【多様化する社会における若者の進路形成に関する一考察 ~教育は社会的格差とどう向き合うか~】

スポーツと人間 第4巻 第1号(2020年)


松永由弥子・角替弘規・野崎英二

『多様化する社会における若者の進路形成に関する一考察

~教育は社会的格差とどう向き合うか~ 』


【要約】

教育の場所としての「学校」はこれまでの日本を支えるうえで重要な位置づけになっており、これからも必要な存在だろう。しかし、教育は社会の変化によって大きな影響を受ける。戦後から75年経過した今日、日本社会は大きな曲がり角を迎えている。その一つが高齢化を伴った急速な人口減少に代表される日本社会の人口構成の 変動であり、もう一つは「Society 5.0」なる言葉に示される高度情報化を伴う労働・就業形態の変動である。かつての「日本の近代化を図るうえでの教育」と「現代の情報化社会における教育」では別のアプローチをとる必要がある。

人口減少社会において社会構造の変化がもたらされており、日本では労働力不足が問題になってきた。それを解決する政策として「外国人労働者の受け入れ」や「女性」や「障碍者」らの労働への参画、などが挙げられる。女性労働者の受け入れは単に「男女平等社会」という時代の流れによってもたらされたのではなく、人口減少に伴う労働力不足問題が背景にあることを忘れてはいけない。このようにかつての日本ではみられなかった社会構造の台頭に日本の教育を変革する必要にも迫られてきた。

 近年、内閣府は第五次科学技術基本計画において「Society 5.0」なる社会構想を示した。 「Society 5.0」とは、狩猟社会(Society 1.0)、 農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)の次に到来する社会を示す造語である。「Society 5.0」は「IoTですべての人とモノがつながり、 様々な知識や情報が共有され、新たな価値がうまれる社会」であり、「少子高齢化、地方の 過疎化などの課題をイノベーションにより克服する社会」であり、「AIにより、多くの情報を分析するなどの面倒な作業から解放される社会」であり、「ロボットや自動運転車などの支援により、人の可能性が広がる社会」 と定義されている。このような社会の変化に対応して、教育の在り方も変化が迫っている。この情報社会の中でどう生き残るのか、競争に勝つことだけを目指す人材ではなく、新たな「創造」ができる人材の育成を目標にしていく。

 従来の日本教育では、「偏差値」などの画一的な指標で図ってきたが、これが日本の近代化を支えたというのは間違いないが、画一的な指標は画一的な社会を作り出し、いじめやひきこもりにつながる影の面も忘れてはならない。

2018年の段階では非正規雇用者が4割にも上り、フリースクールなどの「普通の学校」から離れた場所で、学ぶ生徒が増えてきており、その進路においても必ずしも「普通の学校」を卒業しなければいけないということも減ってきた。そして、フリースクールのような学校では生徒たちのキャリア教育にも力を入れ、より個人が自由に生きる指針を立てている。一方、「普通の学校」ではこのようなことは社会福祉と位置付けられ、従来カリキュラム外であった。

 近年では、学習のなかでも「生涯学習」の概念が生まれ、社会で生き抜くために必要な学習として位置づけられており、さまざまな取り組みがされている。


【感想】

この論文は私たち子ども班の活動の「理念」にあたる部分にすごく参考になると思いました。理念の核である「子どもの可能性を広げる」という目標は子どもたちが選択の幅を広げられる、ということと解釈しています。選択の幅を広げるために私たちはこれまで、「KG尼っ子プロジェクト」を実施してきました。その中で、私たちが何のために子どもたちにキャリア教育のようなものをしているのか再確認しました。子どもたちが普段体験しないような環境のなかで新たなことへの気づき、そして自分への気づきを得てもらう…そのために必要なことなのだと思いました。そしてその気づきの中でこれまでの過去の自分との連関により「創造」が生まれるのだと信じています。

 今後、お世話になっている中学校の生徒たちと関わる際にも、画一的な教え方をしないようより一層心がけていく必要があると思いました。そうすることで短期的に「創造」力が身に着くことはなかったとしてもきっといつか、どこかで私たちとの交流が違った形で効果を発揮するかもしれません。これからの教育というのは目に見えず、すぐに効果がわかるようなものではないと思っています。こうして子どものことを考えていても果たして本当に役に立っているのかわかりません。ですが、こうした形でないとこの社会の中で私たちも、子どもたちも生き抜いていくのは厳しいと思いますので、今後ももっと「目に見えにく~い」活動をしていこうと思っています!そうしてあとから結果はついてくるでしょう。

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