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5月日本語論文【21世紀型能力】

論文タイトル:21 世紀型能力に向けた「他者に伝える意識」を持つ意義 -読解と作文の融合研究のこれから-

論文執筆者:柏崎秀子

論文執筆年:2016年

論文誌:実践女子大学生活科学部紀要 53 (2016): 85-94.


<要約>

複雑で激しく変動する21世紀の社会を生き抜くために、これからの学校教育で育成すべき資質・能力として、国立教育政策研究所(2013年)によって「21世紀型能力」が提案された。学びの目標として、単に知識・技能を習得するだけでなく、知識・技能を活用する力、他者とのコミュニケーションを取りながら問題解決する力を育成することが求められることになった。

21世紀型能力は、「基礎力」「思考力」「実践力」の3層からなる。この中核となる「思考力」では、他者とコミュニケーションしながら考えを共有しつつ協働できる力が重視されるわけだが、そのためには、共同の前提として、他者に伝える力が必要であろう。さらに、相手に伝わりすくするにはどうすればよいのか、などを自分なりに思考する機会を多く持つことが、言語の発達に重要であると示唆されていることから、他者に伝える目的を持って言語活動を行う機会を持つことが、様々な能力を伸ばすことに繋がると考えられる。

本稿では、21世紀型能力の育成に向けて、「伝える力」に焦点を当て、他者に伝える意識を持って資料を読みその内容を伝える思考研究の取り組みをもとに、他者に伝える意識を持つことの意義について考察する。

21世紀型能力に向けた融合研究から、

・読解内容を他者に伝える意識を持つことによって、伝達相手のわかりやすさを考慮した表象を形成する可能性が示唆されること

・伝達想定相手が同年齢より異なる年齢、それよりも年少者であることが他者に伝える意識をより明確に持たせるために有効であること

・伝える意識を持つことが、持たない場合に比べて、理解しやすくする情報の付加や改変の仕方が異なることが導けること

・小学生向けに紹介するという目的によって、伝達相手がどの程度理解できるかを考えるというメタ認知を働かせていくということ

が明らかになった。


<感想>

コミュニケーションと一言で言ってしまうと、様々な要因が複雑に絡み合っていて、コミュニケーション能力を向上させることはとても難しいことだと感じていました。しかし、コミュニケーションの大前提として、「伝える力」に焦点を当てたこの論文を読み、小さいことから少しずつでも子どもたちの能力向上にアプローチしていくことができるのでは、と思いました。特にこの「伝える意識を持つこと」は、内容をより良く理解するために有効だということも明らかになっています。そのため、この結果について私たちでも話し合い、「事前に授業の概要を、授業終了後に書いてもらうことを伝える」ことをすることで、授業の理解度も深まり、自分の言葉で伝える能力も向上するのではないかと考えています。

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