【1月 日本語論文】不登校を経験した中学生が求めていたものは何か
鈴木誠. (2009). 不登校を経験した中学生が求めていたものは何か. 大正大学大学院研究論集= Journal of the Graduate School, Taisho University, (33), 256-242.
<要約>
不登校問題は教育における課題として大きな問題とされている。課題に対するアプローチが日々なされているが、この課題はなかなか解決する方向へと進んでいない。この研究では、不登校に陥っている生徒たちの周りに教師や家族の環境についてを扱っている。調査方法としては、中学生の時に不登校の経験をしている生徒に当時のことについて、不登校になった理由などについて、アンケート方式で調査を行っている。不登校に対して解決策となるアプローチ方法は、画一的なものはない。これをすれば解決するというものはない。それぞれの生徒に応じたアプローチ方法を考え直してみる必要がある。本研究の筆者は臨床教育学的アプローチを学級で行っている。これは、学級担任と生徒間の関係性を一方的に行うのではなく、お互いの立場から相互的な関係に変化させる方法である。分析結果より、不登校に陥った生徒は、教室内で一人でいることに辛さを感じているということが分かった。これは、たとえ友達がいなくても担任がよき理解者であれば、不登校に繋がっていないというのもある。また、教室における担任の存在に生徒の学校生活に影響を与えている。生徒に応じて態度を変えるなどが見受けられた場合、担任に対する信頼は落ちてしまっている。その一方で、自分自身の性格の結果と答える生徒も存在した。中学生は、担任に対して、自分自身のことを分かっていなかったということを挙げている。その結果、「いなくても良い存在」と自身で認識してしまい、不登校へと繋がっている。教師に求められることとして、生徒一人一人に対する理解の幅を広げ、柔軟に対応できる力が挙げられている。また、生徒の行動を観察し、その変化を読み取ることも必要だ。親に関しても子どものことをより柔軟に理解することが求められる。子どもが不登校になった際に、親は子供の気持ちをあまり汲み取れていないことが多いことも事実だ。それにより、彼らは家庭での居場所も失われてしまっている。このように、教師は不登校問題に対して、今までのような枠にはまった方針を貫くのではなく、そこから一歩抜け出した柔軟な形で、じっくりと生徒と向き合っていく姿勢が求められている。
<感想>
不登校の問題に関して、小中学生の時と大学生の今では大きく私の見方は変わっているように感じている。小中学生時代は、不登校は「良くないこと」であり、あのようになってはいけないと感じるような風潮があった。そして私もそのような期待に応えようとしていた。しかし、そこには教師や親も含めた何か病的に憑りつかれたかのような学校に対する見方があったように思う。学校は言って当たり前、行かない方が異常だといったような感じである。しかし、大学生になってみると、様々な背景を持つ人々と触れ合うようになり、不登校に対しての見方に否定的な部分がなくなったように思う。今回の研究のように教師や親のサポートが強化されれば生徒もより不登校から抜け出せるだろう。私が最後に思うは、とにかく学校に対する価値観は変化してきつつあるので、それに順応するような見方を私たちもアップデートしていく必要があるのではないだろうかということだ。
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