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5月書籍【AI vs 教科書が読めない子どもたち】 

AI vs 教科書が読めない子どもたち (2018)

新井紀子 東洋経済新報社



<要約>

「AIの発達によりAIの能力は人間を超えるのか?」という問題を聞いたことがある人は多いと思います。この本では最近取り上げられるこの疑問に対して、数学者である著者が現時点での答えを述べ、それを受けて私たち人間はこれからの社会を担っていく子どもたちに対してどのような力を身につけさせる必要があるのかという点について論じられた本です。まず、最初のAIは人間を超えるか?という疑問に対しての答えとしては著者は「NO」と言っています。著者はAIというものは数学的な思考法でしか考えられず、近年言われているディープラーニングについても、AIには人間にとっての常識となる部分から教え込まないとならず、現実的に無理であると書いています。しかし、それで楽観的になってはならず、AIによって職種は減らされるというのは現実的になるだろうと書いています。そのために、これからの時代はAIが担うことが出来ない仕事に人間が就く必要があります。あるルールの中で機械的に行われている仕事はAIの得意分野のため、代替されてしまいます。人間がAIに勝つことが出来る能力というのが文章や図の読解能力と書かれています。では、この能力が現在の学生に備わっているかというと、全然足りていない力が多いと書かれています。その能力を向上させるために著者は教科書を読む力だと挙げています。この能力が向上しないと、いくら暗記量を増やしたとしても、AIを上回ることが出来ません。AIと共存していくためには、読解力がカギを握っています。

<感想>

私はこの本を読んでみて衝撃的でした。なぜなら、最近店頭で見かける本の多くがAIについて脅威や恐れをあおるような見出しの本が多かったからです。このように、数学という科学的で論理的な考え方でAIについて論じている本を読むことで、AIのできる部分やできない部分、人間でも上回れる部分が詳しく分かりやすく書いてあると、AIに対してそこまで恐怖を抱く必要はないように感じます。それ以上に恐れないといけないのは、読解力の低下をどうやって食い止めることが出来るかということです。AIの普及により、職がなくなってしまうということは、技術革新の歴史を振り返ってみてもしょうがないと思います。その代わりに新たな仕事が生まれてくることも考えられるからです。しかし、そのような仕事もAIにできない能力を持つことが前提となってくるため、AIにない読解力といった部分が要求されます。実際に著者がある県で行った独自のテストを用いると、読解力の向上に役立ったという結果も出ています。AIに打ち勝つ能力を育成するために、まずは全国で教科書レベルの問題を問うて読解力を上げる訓練を実施する必要があると思います。

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