6月書籍【子ども格差の経済学】
子ども格差の経済学(2017)橘木俊詔 東洋経済新報社
<要約>
日本における子どもの学力の差は、単に子どもの勉強をする力がいかに高いかというものに左右されるとは限らない。その例として顕著なものが東大生の保護者の所得である。単に学力や意欲だけではどうしようもないような現状が日本の教育には存在する。本書では、塾や習い事といった学校外活動について第1章、2章で説明し、第3章で一般的に教育にどれほどの費用がかかるのか、そして、第4章では現在の教育制度における認識を説明し、第5章ではこれまでの章を踏まえて、子どもの教育に関わる親や行政にこれからどのような対応が求められるのかについて書かれている。この本での大きな柱は家計の所得格差によって学力の面で差がついてしまう状況を改善する必要があるということだ。このような状況に陥っているのは、塾などの学校外での勉強が「主」となり、学校が「従」となってしまっていることに大きく起因している。これを改善するための方法の1例として本書では、小中学校といった義務教育課程で少人数学級の編成や塾のような習熟度別のクラス編成が挙げられている。これには政府の拠出する保障金の増額が不可欠となってくる。
<感想>
経済的な豊かさが子どもの学力に影響を与えることは明らかであるが、私が問題だと思ったことはそれが意欲等以前の学習機会に恵まれているかどうかという点である。これは、小中学校というった義務教育課程ではあってはならない問題だと思う。高校や大学ではある程度、自身で十分に考えて行動できるため上述の問題は特に気にする必要はないと思う。著者が中学校で塾に通えない子どもたちに対して、政府が教師の増員などをして対応すべきと述べていたが、まさにその通りであり、私たちが行っている中学校を訪れての授業サポートこそ、著者が期待している役割の一部を担うことが可能ではないかと考える。私たちの活動においてどのようなものが求められているのかということを再確認するきっかけになったと思う。また、学校で子どもたちが質問等をできる環境づくりがとても大事に感じた。学校で教師に質問をしたいと思っても、教員の多忙によって捕まえられなかったり、教員に質問をしにくいというような雰囲気が醸成されてしまっていたりする状況があると私は、普段サポートに伺っている中学校の方では感じた。この問題に対しても活動を通して、私たちの中で解決の糸口をつかんでいきたいと思っている。ここでは私たちにとって身近であったため中学校について書いたが、それだけでなく、中学校というものが教育課程において最も重要であると私は考えている。中学校はちょうど過渡期であり、自立を考える時期であるからだ。そこでどのような教育環境にあるかが、その後の子どもの教育におけるゴール設定に大きく関わってくると思う。このような状況を加味して中学校で様々な子どもたちに対するアプローチを日々考えていきたいと思う。
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