9月日本語論文【中学生のストレス反応とストレッサーとしての部活動との関係】
手塚洋介, 上地広昭, & 児玉昌久. (2003). 中学生のストレス反応とストレッサーとしての部活動との関係. 健康心理学研究, 16(2), 77-85.
〈要約〉
中学生が示す問題行動のうち、不登校や無気力など の非社会的行動や、校内暴力、非行などの反社会的行動のように、主に個人の心理的要因に起因し、正常な 学校生活を妨げる問題行動の総称を学校不適応と呼 ぶ。学校不適応には、問題行動や身体症状として発現 していなくても、日常の学校生活において慢性的な不快感や苦痛を感じている状態も含まれ、生徒が日常経験するさまざまなストレスが学校不適応を引き起こす 主な原因といわれている。本研究は、部活動におけるストレッサー、ストレス反応、および部活動におけるパフォーマンスの主観的評価の間の関係を調査するために実施された。調査対象は、長野県内の市立中学校に在籍し、運動部に所属する生徒299名および 、 文化部に所属する生徒93名としている。結果から、部活動に関するストレッサーとス トレス反応との関連性が認められ、その説明率は運動 部ではおよそ5-13%、文化部ではおよそ8-24%であっ た。このような結果を導いた要因として、個人内変数 の関与が指摘されている。また、両者と主観的なパフォーマンス の評価との関連性について、運動部において、部活動 に関するストレッサーおよびストレス反応のどちらも 主観的なパフォーマンスの評価に影響を及ぼしており、媒介変数としての認知的評価における挑戦あるいは脅威といった評価の違いが、このような結果をもたらした可能性が考えられる。
〈感想〉
子ども班論文を書くにあたり、中学生のメンタルヘルスやストレス適応といった観点から、この論文を見つけた。これまでの研究の中では、部活動は運動部においてのみ着目され、ストレッサーとストレス反応間の関連性が認められていたが、文化部の方に目を向けるとこちらの方が大きな関連性があるというのだから驚いた。また、この論文では、ストレスのネガティブな側面だけではなく、ポジテイプに作用する側面に着目することで、ストレスを避けるものとしてだけではなく、活動性を上昇させ、動機を高め、高い成果へと導く動因の 1つとして活用させる方法の開発にも言及されている点が興味深かった。拡大し続ける学校不適応に対応すべく、部活動におけるストレスマネジメントを応用させるという考え方を、具体化し、自分たちの論文執筆の中に生かしていきたいと思う。
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