3月英語論文【Entrepreneurial Education and Teacher Training in Rwanda】
更新日:2020年4月30日
Journal of Development Economics Volume 140, September 2019, pages 186-202 Musa P. Brimpoa and Todd Pugacci, "Entrepreneurial Education and Teacher Training in Rwanda
[概要]
本稿のテーマは、「起業家としての子どもたちの教育とそれを教育する教師が経済にどのような影響を与えているか」である。データはルワンダで取ったものである。ルワンダは教育の改善による経済の発展を目指し、2009年に9年間の義務教育を設け、2016年には全国の学校で起業家教育のカリキュラムを採用した。ルワンダが起業家を教育しようとした理由は様々だが、ルワンダで義務教育を修了した人の約74%が自営業(67%が農業分野)かヘルパーとして働いていることがわかった。そこで、「教育の効果が足りないのではないか」と考え、教育カリキュラムの改訂を思いついたそうです。しかし、実際にはそのカリキュラムを教師が乗っ取らないということが起きてしまい、カリキュラムの効果が出にくくなってしまいます。そのため、子どもたちへの起業家教育だけでなく、教員研修も含めて行わなければ、そのカリキュラムが本当に効果的かどうかを測ることができません。
そこで、まずは「起業家教育カリキュラムの重要性を理解してもらうための研修」に教師を参加させる。その結果、教師の関心度が高まり、生徒の教育が変わっていく。そして、その結果として生徒の起業家的能力や非認知的能力が高まり、最終的には経済活動が盛んになると分析している。" (1)教員の起業家教育カリキュラムへの理解度を高めるための研修、(2)教員の起業家教育への関心、(3)実践的なカリキュラムを行うことで生じる学力・金融力・起業家能力と二次的な非認知的能力、(4)経済活動の増加。
分析方法は無作為化比較試験であり、OLS推定を行った。その結果、教員研修の実施(研修参加を拒否した教員は対照群)が教員の関心度という変数に正の有意な効果を示した。また、関心スコアと生徒の能力が正と有意に影響していることが示された。
(感想)
この論文には興味深い分析手法もありましたが、それ以上に教授陣への配慮が感じられました。教育への投資が学生の能力に影響を与えるという論文や研究報告、書籍などを見てきましたが、単なる教育への投資ではなく、どうすればより効果的な投資になるのかという点で、非常に興味深い論文でした。これまでも子ども班の活動の中で生徒に対して何かをしようとしてきましたが、できることならば学校の先生方にお願いしてみたいと思いますし、もしかしたら先生方へのアプローチが結果的に生徒に適切な教育につながるのかもしれません。この視点の転換はとても興味をそそられます。ただ、少し疑問に思ったのは、なぜ「教師の教育に対する理解」が「非認知能力」に影響するのか?それは、「教師は非認知能力にそこまでアプローチするのか」という部分です。また、どのような非認知能力(主体性、協調性など)が経済活動に良い影響を与えるのかが明記されていなかったのが少し残念だったと思います。
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