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【10月 日本語論文】中学校入学時の子どもの期待・不安と適応

小泉令三 (1995) Japanese Journal of Educational Psychology


<要約>

 中学校への入学は、心身の変化の著しい思春期と重なり、子どもにとっては大きな変化を経験する環境移行(environmental transition)事態といえる。そこで、従来より欧米を中心に、子どもの中学校環境への適応感や態度、ストレス、自己認識、友人や教師との人間関係などの変化が検討されてきた。子どもは中学校をどちらかというと否定的にとらえ、不安を抱きつつ中学校入学を迎えていることが報告されている。けれども、これらの研究には大きくまとめて2つの問題点がある。まず 第1は、期待や不安の測定に関する問題である。第2の問題点は、中学校入学前の期待や不安、入学後の中学校生活への適応との関連が検討されていない点である。以上の2つの問題点を踏まえ、本研究では中学校入学にあたっての期待と不安の構造および強さを測定し、それと入学後の中学校生活への適応 との関連を検討することを目的とした。従来の知見での分類とある程度の対応づけが可能である一方、本研究は、期待・不安という中学校入学前の変数のみを用いて群の設定を行っている点に特色がある。そして、これらの群間で適応状態に違いが見られたことから、中学校入学に対する構えに関わっていると考えられる期待や不安が、中学校への適応過程に関連していることが確認できた。


<感想>

 本研究を読んだことで、中学生という青年前期における心理状態に着目すべき理由を再認識した。公立中学校の場合、様々な区の子どもたちがその中学校に集まってくるため、人間関係での不安が高まることは想像しやすい。人によって学生生活のどんなところを重視するかが異なるため、適応感に関しても 判断基準は人によって様々だと思う。将来に対して不安を抱くことは当然であるが、その一方で、自分では変えることのできない不安もある。例えば、勉強で不安を感じていれば、その不安を払拭するべく、入学前の春休みから先取りで勉強をするという方法がある。だが、担任の先生の考えが合わなかったらどうしよう、クラスが合わなかったらどうしよう、などの不安は、自分の手によって変えることのできるものではない。それにその未来が確定している訳でもない。そのため、不安を感じるのはいいが、どこかで踏ん切りをつけることで、過度の不安を防ぐようなマインドの構築は、その後の人生においても活かせると思う。


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