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【3月書籍】イギリスのいい子 日本のいい子 ー自己主張とがまんの教育学ー

佐藤淑子(2004)中公新書


〈要約〉

 優しい子に育ってほしいけれど、自分の意見を言えないようでは困る。自分の意志を持ってほしいけれど、わがままなのは良くない。子どもが育つとき、自己主張と自己抑制が共にできることが大切なのはわかっていても、そのバランスは難しい。本書では、両者を等しく重視するイギリスと、自己抑制を尊重しがちな日本の教育を比べながら、子どもたちはどうやってこれらを身につけていくのか、親はそのためにどうすべきかが述べられている。イギリスをヒントにして、日本文化のシステムと合致する日本独自の新たな自己形成を模索していくことが、幼児期の子どもたちを育成する私たち大人の課題だと、著者は結論付けている。


〈感想〉

 日本では、自分の意見をはっきりと言わずに我慢することが美徳とされ、必要な場面での自己主張ができなくなっているということが少なからずある。著者は、“幼児期の自己主張を育むには、まず何よりも大人たちが自己主張を捉え直し、かつ伝統的な自己抑制も見失うことなく、自己主張と自己抑制のバランスをうまくとる生き方を構築する必要がある”と述べている。このように、まずは自分を含む大人が、自己主張について正しく捉え直すことが必要だということに納得した。また、わがままと自己主張の線引きは、絶対的価値観ではなく、その環境や文化によって規定されるため難しい。そのため良い悪いという単純な判断ではなく、いろんな文化の考え方を知り、そこから自分の文化を見つめ直すことはとても有効的だと考える。


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