【4月 書籍】読解力を身につける
4月書籍 『読解力を身につける』村上 慎一 著
【要約】
~言葉をみがき、言葉の精密な運用をめざす「国語」という教科は「人生」のすぐ近くにある。「なぜ国語を学ぶのか」という問いへの答えはシンプルである。よりよい人生、より豊かな生のために学ぶのである~
言葉というものがいかに思考と緻密にかかわっているかについて述べられている。なぜそこまで言葉が関わっているかというと、人間は言葉なくして生き続けることができないからである。言葉を聞いて、話して、そうして表現することによって日々暮らしている。であるならば、その言葉をもう一度きちんと理解し学ぶことは思考の豊かさを広げること、そして最終的には人間の「生」に関わることへとつながる。言葉を理解するためには「読解力」が求められる。これは資料の読み取りという意味の読解ではなく、書いてある文章の奥を読んでそこから解釈して自分なりの言語にして表現すること、これが読解力の真の姿である。
読解力を習得するために本書では、「評論」「資料」「文学」の文章の種類に分けて分析を行い、段落の意味など細かい技法にも着目して本当に理解するための具体的なプロセスを紹介していく。
【感想】
具体的に評論文で、段落ごとに要約をしていったりする作業などを提示してくれ、読解力をどうやって身に着けるとよいのかについておぼろげながら理解が出来ました。それぞれのパートもすごくおもしろいのですが、個人的におすすめなのが各章の末尾にある「コラム」です。ここでは、「自我と言葉」など言葉を人間がどのように使ってきて、それをどう人生に活かしてきたかをくわしく書いてくれています。そのほか、文学的文章の読み方もあったのですが、文学的文章をそもそも鑑賞以外の観点で読むべきなのかという議論もされていて、小説を読む意味を根本から考え直す機会になりました。
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