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【6月日本語論文】ヤングケアラーをめぐる議論の構造 ―貧困の視点を中心に―

亀山 裕樹(2021)北海道社会福祉研究, 第41号, 35-47


(要約)

本研究の目的は、日本におけるヤングケアラーをめぐる議論において、どのように貧困が言及され、どのような点で貧困の視点を抜け落としやすい議論の組み立て方が取られているかを明らかにすることである。これまでの研究で、ヤングケアラーと貧困に応じてケアを担う子どもの混同を懸念し、ケア経験を肯定的に意味づけていた。これらに焦点を当てる際、一方で貧困の視点の抜け落ちを防ぎにくいという問題があった。このことにより、貧困などによりケアの担い手が不足し子どもがケアを担うという構造が議論から結果的に抜け落ちると示唆されていた。本稿では、これを踏まえたうえで、家族に障害や病気がなくとも貧困に応じてケアを担う子どもをどう捉えるかという議論枠組みの課題が提示される。


(感想)

最近、ヤングケアラーについて、耳にする機会が増えたと思う。すなわち、この問題が社会に認識され始めたことを意味するが、本論文で述べられているように、ヤングケアラーの定義が曖昧であったり、議論の枠組みから貧困という視点が抜け落ちていたりすると、この問題に正しくアプローチすることができなくなる。また、社会で注目されるようになったとはいえ、多くの人が本当の定義を知っているのかは疑問である。ヤングケアラーについて、社会に注目されてきた問題だからこそ、定義や枠組みを明確にすべきであると考える。ヤングケアラーにかかわらず、子どもの貧困などの問題は、多くの要素が複雑にかかわりあっているだろう。そのためヤングケアラーについて、多角的に考えることで、そのほかのこどもの問題についても、アプローチできるのではないかと考える。



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