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【6月書籍】非認知能力-概念・測定と教育の可能性-

小塩真司 (2021) 北大路書房


<要約>

 本書では、非認知能力あるいはそれに類するものとして取り上げられることのある、15の心理特性に注目している。そして、それぞれの心理特性がどのような概念であるのか、どのように測定されるのか、人為的な介入や環境の変化によってどれくらい変容する可能性があるのか、そして教育に対してどのような示唆が与えられるのかを紹介している。非認知という言葉は21世紀に入ってから、とくに2010年代以降によく見られるようになった。本章ではそのような非認知能力について人間力、やりぬく力など漠然とした言葉に拠らず、心理学の知見から明快に論じている。誠実性、グリット、好奇心、自己制御、楽観性、レジリエンス、マインドフルネスなど関連する15の心理特性を取りあげることで、教育や保育の現場でそれらを育む可能性を展望し、非認知能力を広く深く説明している。


<感想>

 非認知能力と性格特性を一緒のものとして捉えていた私にとって、本書で述べられていることは非常に勉強になった。それぞれの心理特性の相互作用などについても簡潔に述べられているため、非認知能力に関する理解がより深まるだけでなく、読みやすい一冊という印象を受けた。性格特性等の非認知能力については子ども班の論文で題材として扱うことが多いが、正しい理解のもと論文と向き合えていないことに気が付くことができた。性格特性等の研究は政策立案的な観点から考えると、再現性や普遍性はそれ以外の研究と比較して厳しい面もあるが、非認知能力を研究することは面白いと思う。今年度の論文でも性格特性等の非認知能力は扱う予定のため、本書から学び得たことは忘れずにいつでも取り出せるように近くに置いておこうと思う。


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