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【7月書籍】人間になれない子どもたち

清川 輝基 (2003) 枻出版社


<要約>

 日本の子どもたちのからだや心の育ちの状態は年々悪化し、いまや史上最悪の危機的状況となっている。一人間の子どもを“メディア漬け”にして育てると、からだや心、コミュニケーション能力の発達にどんな歪みや遅れが現れるのか一日本の子どもたちは今、人類史にかつてなかったそんな“人体実験”の真只中にいる。近年、子どもたちの電子映像メディア接触の「早期化」、「長時間化」に拍車がかかり、半数以上の子どもたちが1日平均6時間をこえるメディア接触という“メディア漬け”状態に陥っている。授乳しながらテレビやビデオを見たり、ケータイでメールを打っている母親が7割を超え、“母子カプセル育児”の中で若い親たちは「子守機能」や「しつけ・教育機能」を“電子ベビーシッター”に依存することに何の疑問も抱いていない。私たちはひたすら豊かさを追い求め、快適で便利な環境を着々と実現してきた。メディア環境もそのひとつである。しかし、そのことは同時に、子どもが“人間になる”ための条件や環境を決定的に破壊し奪いとることでもあった。


<感想>

 子どもたちが、からだも心も“人間になる”ということを実現するためには、大人である私たちのからだも心も人間であることが一番に求められる。このことにとても不安を抱く。親がメディア漬けの場合、その子どももメディア漬けになるという負のループが存在すると考える。そのため、家庭に対して「お子様のからだも心も人間になりましょう」と呼びかけるのは限界がある。子どもは親の良い習慣だけでなく、悪い習慣までも取り入れてしまう。それほど、親という存在は子どもたちにとって良くも悪くも大きいものである。だからこそ、教師、保育士、行政関係者など、子どもに関わる仕事に携わっている人へのメッセージも込めている著者の姿勢には納得できる。




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