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【8月書籍】デジタルで変わる子どもたち -学習・言語能力の現在と未来-

バトラー後藤裕子(2021) ちくま新書


<要約>

 近年のデジタルテクノロジーの発達および普及はめざましいが、他の先進国と比べると日本はデジタルテクノロジーの学校教育への導入に遅れとっている。テクノロジーは諸刃の剣とも言える。学習の効率を高め、広いネットワークを構築して創造性を高めるなど、大きな可能性を秘めている。一方でその使い方次第で、認知機能を衰えさせ、人間の学びを損ねる危険性もある。明確なビジョンがないままでの導入は、学びの質の貧困化と画一化につながりかねない。本書では、人間の持つ様々な能力の中で最も重要なものである言語に特に焦点を当てて、SNSやゲーム、AI、コロナ禍などの幅広い面から議論が展開されている。デジタルテクノロジーとの共存には、選択的・方略的な仕様が欠かせないと著者は結論付けている。また、テクノロジーへのアクセスの差、質の差の問題も見直すべきである。


<感想>

 デジタルテクノロジーは、いまや私たちの日常に溶け込んでいる。その時代においてテクノロジーと共存するためには、教育者や保護者をはじめとする大人たちがテクノロジーについてどれだけ正確に理解できているかという点が重要だと思った。同時に教育者や大人たちがどれほどテクノロジーへの正しい理解を持っているか、またどのように知識を広めるのかが、日本における問題だと考える。本書では例えば、SNSやゲームは有効な学習ツールになり得ると述べている。それらは子どもの学習や言語能力に良い影響を与えない、時間の無駄だと思っている大人がいるだろう。過剰依存は避けるべきだが、使い方やテクノロジーを自主的に使いこなせる知識と自律性を育てるにより可能になる。また、デジタル媒体は紙媒体より「読み」を複雑にし、読解力に影響するともあった。変化に柔軟に対応しながら、テクノロジーを有効に活用できる環境を作っていくべきだと考える。



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