12月書籍【フィンランドの教育はなぜ世界一なのか】
フィンランドの教育はなぜ世界一なのか (2019)
岩竹美加子 新潮社
<要約>
みなさんは世界一教育が優れている国をご存知だろうか?その国はフィンランドである。フィンランドはOECD加盟国が15歳を対象として行っている学習到達度調査(PISA)で世界一の結果を誇っている。この本はその理由をフィンランドの教育制度を参考にして書かれている。まず、フィンランドは育児における保育が手厚く保障されている。そのため、女性の社会進出がとても早い段階から可能だった。また、学校行事に関しても、日本のように親が積極的に関わる必要がなく、入学式も存在しない。フィンランドの道徳では、「人生観の知識という科目があり、その科目は小学生から学ぶ。その科目では、哲学などの考え方も取り入れられており、そのような思考のやり方を小学生という時期から学ぶこととなる。その授業の中に「知ることとは何か」という内容があり、そこでは知識を得ることについて2つの見方を挙げている。1つ目は物事を観察し、実験することでもう1つが自分の感覚が正しくないという可能性を疑い、理性を用いて道理的に考えるということだ。そして、この2つの面から考えることが知識を得るために必要と教えている。いじめについても、深い研究や施策がなされ、道徳科目の強化は重要でないとする結果も示されている。学校に投稿するべきかどうかについてもフィンランドでは、強制はされておらず、ホームスクールという選択肢も存在する。さらに、フィンランドでは高校まで教育が無償であり、大学も自分に合ったものを選べる。そして、大学卒業後にすぐ就職するという制度や風潮もない。このような側面から、フィンランドは世界一の教育を誇っている。
<感想>
私は、フィンランドの教育制度は日本と比べて、真逆ともいえるほど異なっている部分も多く最初はとても驚いた。日本の教育を受けてきた身としては、フィンランドの教育は理想的なようにも感じる。しかし、それでは日本も「フィンランドのような教育制度にすれば世界一に近づくことができるのか」と言われると、私はそれは違うと感じる。なぜなら、フィンランドと日本では、人口や面積、気候などの性質が異なり、さらに歩んできた歴史も違うからだ。フィンランドのように日本は高校無償化をすることは、少子高齢化の点や人口の違いから不可能である。フィンランドは消費税が30%を超えるなどの国民の負担がとても大きい。さらに、フィンランドでも最近、教育制度改革の必要性も謳われている。失業率の増加が影響し、少子化が進行しているからだ。そこで、私が考える日本が見習うべき点は、道徳の授業である。小学生から、哲学的な思考を取り入れることはとても重要だと考える。なぜなら、答えのない問いに向かう機会は日本の教育では少ないと思うからだ。日本の教育は、答えをすぐに求めるような人々を作り上げてしまうように思える。私は日本も取り入れることが可能な部分でフィンランドの教育を見習うべきだと考える。
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