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2019年 6月 参考文献

・豊沢純子・唐沢かおり・福和伸夫(2010)

「小学生に対する防災教育が保護者の防災行動に及ぼす影響ー子どもの感情や認知の変化に注目してー」『教育心理学研究』58(4), 480-490

 本研究は、脅威アピール研究の枠組みから、小学生を対象とした防災教育が、児童の感情や認知に変化を及ぼす可能性、及び、これらの感情や認知の変化が、保護者の防災行動に影響する可能性を検討した。

135名の小学校5年生と6年生を対象に、防災教育の前後、3ヵ月後の恐怖感情、脅威への脆弱性、脅威の深刻さ、反応効果性を測定した。また、防災教育直後の保護者への効力感、保護者への教育内容の伝達意図と、3ヵ月後の保護者への情報の伝達量,保護者の協力度を測定した。その結果、教育直後に感情や認知の高まりが確認されたが、3ヵ月後には教育前の水準に戻ることが示された。また共分散構造分析の結果、恐怖感情と保護者への効力感は、保護者への防災教育内容の伝達意図を高め、伝達意図が高いほど実際に伝達を行い、伝達するほど保護者の防災行動が促されるという、一連のプロセスが示された。考察では、防災意識が持続しないことを理解したうえで、定期的に再学習する機会を持つこと、そして、保護者への伝達意図を高くするような教育内容を工夫することが有効である可能性を議論した。

​​

・ Wei Chen, Guofang Zhai, Chenjing Fan, Wenbo Jin & Ying Xie, 2016, "A planning framework based on system theory and GIS for urban emergency shelter system: A case of Guangzhou, China", Human and Ecological Risk Assessment: An International Journal Volume23 Issue3 Page 441-456

 この論文では中国において、理論システムと地理情報システム(GIS)を用いて災害時の避難所の枠組みを策定している。避難所は災害発生時の経済の停滞を軽減する役割をもっており、台風や洪水、地震などさまざまな自然災害に対応することのできるシステム作りが必要である。避難所はいくつもの種類に分類される。まず初めに、それぞれ避難にかかる時間や避難所の面積など特色の違う、中央避難所、固定避難所、一時避難所の3種類に分けられる。それと同時に屋外か屋内の2パターンに分類され、避難所を設計する際にはそこからされに細かく設定された項目ごとに沿って特徴を考える。適切な水準の予防策を考えるために、各地域のリスクを数値化する必要がある。その場合に使用した数式が以下のものである。

Risk = Hazard × Vulnerability / Capacity

結論として、急速な経済成長率に見合うだけの避難所の整備が進んでいないのが現在の大きな課題である。各地域で防災関係のシステム整備を促進しようとする風潮はあるが、経験不足によりうまくいっていない。より有効で効率的なフレームワークに改善するために、継続的な研究を行うべきである。

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