2020年 6月 参考文献
【日本語論文】
片田敏孝、桑沢敬行「津波に関わる危機管理と防災教育のための津波災害総合シナリオ・シミュレータの開発」
『土木学会論文集D』Vol.62 No.3,250-261,2006.7
津波災害による人的災害の発生は、その時の住民の避難状況により大きな差が生じる。したがって、津波対策として従来の防災施設の整備に加えて、的確な災害情報の伝達や避難指導、そして防災教育の実施により、迅速な住民避難を実現することが非常に重要となる。この問題に対し筆者らは、津波の襲来状況のみならず災害情報伝達から住民避難の意思決定、そして避難行動までを一括して考慮し人的災害の発生を表現するシミュレータを開発した。このシミュレータは、任意のシナリオによる人的被害の推計が可能であり、津波防災の戦略検討ツールや防災教育ツールとしての利用が可能である。本研究では、三重県尾鷲市を対象にシステムを適用しその有効性を示した。
【英語論文】
Reduction of future disaster damages by learning from disaster experiences
Onuma, Hiroki & Shin, Kong Joo & Managi, Shunsuke
MPRA Paper 77635, University Library of Munich, Germany.
本稿では、世界的な災害データを用いて、自然災害と技術災害の災害関連死亡者数を集計し、さらに細分化したデータを分析している。結果として過去に被った災害の経験が将来の災害による被害を軽減していることが判明した。また災害の種類や経済発展のレベルによって、適応効果が異なることも分かった。特に、自然災害は将来的な減災に繋がりやすいうえに、低所得国ではその限界効果が大きいということ。一方で、技術災害は高所得国でのみ影響が大きいことも分かった。
(ここでの技術災害は各種交通災害・鉱業事故・テロリズム・社会不安などが挙げられる)
【書籍】
「災害と子ども支援-復興のまちづくりに子どもの参加を―」安部芳絵,学文社(2016)
阪神淡路大震災を経て日本社会に広まった言葉として「ボランティア」と「心のケア」が知られている。これに対して、東日本大震災後に一般化した言葉としては「子供支援」があげられるだろう。従来考えられてきた教育や福祉、医療、まちづくりといった分野は子供を縦割りにしてきた。子供支援学はそれぞれの分野を子供を中心として貫くアプローチをとる。(安部2011)その土台となるのが国連子どもの権利条約の理念である。国連子どもの権利条約は1989年に国連総会で採択され、日本政府は1994年に批准した国連条約であり、締約国数は1996か国(2016年1月)に及ぶ。
本書では、災害復興期の子供の育ちを支える枠組みとして、子供支援学の観点から災害復興期の子供支援の課題を示す。次に、本書全体を貫く視点として、「子供中心のケア」「レジリエンス」「PTG」「支援者による子供へのはたらきかけ」を挙げる。これを踏まえて本書では、東日本大震災をはじめとした災害とそこからの復興に向けて、子供支援の在り方に新しい視点を提示している。
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