2020年 8月 参考文献

【日本語論文】

美原 義行、高山 雄策、大部 隆二、岩見 哲夫、神山 肇、松本 茂、戸室 真敬

「自治体を軸とした業界横断型データ流通プラットフォームの開発」

『情報処理学会論文誌コンシューマ・デバイス＆システム（CDS）』10巻，1号，p15 – 25，2020-02-26

本研究では，地域の課題やニーズをデータから把握することを目指し，地域経済圏のデータを業界を横断して集約して分析するデータ流通プラットフォームの開発を行った．我々は，札幌市をフィールドとして，観光分野での訪日外国人のさらなる集客に向けて，外国人観光に関わる市内約30社のデータを集約し分析を行った．扱うデータとしては，訪日外国人の購買データと宿泊データ，周遊施設における訪日外国人の入場者数データに加え，自治体におけるオープンデータと携帯電話基地局データ，その地域で発信されたSNSデータも集約した．本プラットフォームでは，同一業界内の全体傾向と差分が大きい点を自社の特異点として課題検出するだけでなく，特異点と相関の高いデータを業界を横断して検出することで，地域内で相互に連携した課題解決策の設計を支援することを目指す．本機能の実現に向け，購買データに関する特異点を自動で抽出する機能と，業界を横断したデータから特異点と相関の高いデータを抽出する機能，購買データの特異点抽出時に分析の横串となる商品分類を自動で付与する機能，それらデータが各施設から提供される際に個人を特定できない形に処理する統計加工機能の開発を行った．実際のデータ提供企業に特異点を提供し，気付いていなかった特異点も本機能により簡易に発見できることを確認した．

【英語論文】

Community Governance for Disaster Recovery and Resilience: Four Case Studies in the Philippines

Florano, Ebinezer R

Discussion Papers DP 2014-38, Philippine Institute for Development Studies

本稿では、災害復興とレジリエンス構築（精神的回復）におけるコミュニティの役割を調査している。例として、『災害復興におけるコミュニティの役割とはなにか』、『コミュニティ主導の災害復興において、さまざまなステークホルダーはどのような役割を果たしているのか』、『コミュニティ主導の災害復興は、危険や災害にさらされていることに影響されるのか、それともコミュニティ自体の社会経済的発展のレベルに影響されるのか』という問題に取り組んでいる。分析の結果として、災害復旧のためのコミュニティガバナンスはNational Disaster Risk Reduction and Management以前の時代から抜け出せていないようであることがわかった。またレジリエンスは時間をかけて構築されるが、住宅や生活といった重要な復興分野が軽視されていると、それが遅れてしまう可能性があることも判明した。

【書籍】

「地域と職場で支える被災地支援―心理学にできること―」

安藤清志，松井豊，誠信書房（2016）

本書は、東日本大震災の被災地において、私たちと住民が共同で行っている地域見守り活動について、その体制をどのように作っていくかという点から主に論じています。巨大震災に襲われた被災地では被災者が少しでも安心して暮らせるようになるための働きかけが重要です。そのような働きかけの一つが、地域見守り活動です。以下、第二節では、巨大災害における地域見守り活動の重要性を述べています。第三節では、本書で取り上げる実践研究の現場を紹介しています。また実際に地域見守り勉強会のうまくいったこと、うまくいかなかったことも含めて書き記しています。

　最後の第七節では、〈めざす〉かかわりと〈すごす〉かかわりという観点から、地域見守り勉強会の変化をまとめています。