2020年 1月
更新日:2020年9月2日
・林秀弥 金思穎 西澤雅道 筒井智士(2016)『熊本地震を踏まえた地区防災計画等による 地域防災力強化の在り方』名古屋大学法政論集 / 名古屋大学大学院法学研究科編267, 247-298
2016年4月に熊本地震が発生し、震災関連死の可能性のある者を含めると同年6月はじめ時点で、約70名の死者・行方不明者が出た。筆者らは、発災後から熊本市を中心にインタビュー調査を実施したが、九州地方では、行政関係者も地域住民等も、地震が発生しないという思い込みが強く、東日本大震災等の教訓を自分の問題としてとらえることができていないほか、国の普及啓発活動で求められている内容と比較して、防災意識、備蓄等が著しく不十分であった。本稿では、このような熊本地震の被災地の状況を踏まえつつ、2013 年に災害対策基本法改正によって創設された地域住民や事業者による自発的な地域コミュニティの防災計画制度である「地区防災計画制度」の活用の在り方や普及啓発の問題点等について考察されたものである。
・William duPont IV, Ilan Noy, Yoko Okuyama, Yasuyuki Sawada, 2015. "The Long-Run Socio-Economic Consequences of a Large Disaster: The 1995 Earthquake in Kobe," PLOS ONE, Public Library of Science, vol. 10(10), pages 1-17, October.
本研究では、日本の1,719市区を対象とした30年間の大規模パネルデータを用いて、1995年に発生した阪神・淡路大震災の社会経済への「恒久的」な影響を定量化する。地震が発生しなかった場合の神戸経済を推定するために、synthetic control methodを用いている。その結果、3つの重要な実証パターンが浮かび上がってきた。第一に、神戸の人口規模、特に平均所得水準は、震災がなかった場合に比べて15年以上も低い水準で推移しており、震災の負の影響が恒常的に生じていることを示している。このような負の影響は、特に震源地に近い中心部で見られる。第二に、周辺地域では、地震の短期的な負の影響にもかかわらず、恒久的なプラスの影響がいくつか見られた。その多くは、神戸の東側への人の移動と、その結果として神戸のすぐ東側に位置する大阪の大都市中心部への雇用の移動に関連している。第三に、神戸周辺の最も遠い地域は、地震の直接的・間接的な大きな影響を受けていないように思われる。
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