甘
尼
2020年春号
創刊号となる今回はタイトルらしく尼崎の甘味に焦点をあて、昔ながらの魅力やその歴史、志を探った内容となっている。(中略)手にとった皆様もこれを機に、尼崎の甘味処を訪れてみてはいかがだろうか。
〜2020年春号はじめにより〜
表紙をクリックするとお読みいただけます。(別ページが開きます)
〜制作秘話〜
編集者インタビュー
編集者:大崎勇
Q.雑誌を作る時に難しかったことは何ですか
A.雑誌の制作過程は予算の獲得、インタビュー、編集作業など様々ですが、一番難しかったのは構成を考えることでした。特に創刊号では「甘尼」そのもののコンセプトや創刊号で扱う特集のテーマなど、決めることも多かったです。「雑誌の制作」と耳にするとインタビューや編集作業がイメージされやすいかもしれませんが、最も時間を要したのはアポを取る以前の、構成・コンセプトの決定でした。
例えば創刊号では、取材内容やテーマ設定にあたって企画設立当時の街の状況との関連を意識しました。当時は尼崎城の再建に郷土野菜である尼いもの復活も相まって、歴史をテーマに尼崎を盛り上げようという気風が確かにあったと思います。
そのため創刊号では伝統あるヒノデ阿免本舗や高山堂、独自の戦略で「地域密着型」をコンセプトに掲げる彩花苑の三本立ての特集を組み、市外の方のみならず地元の方にも、日常の奥行きとして存在する甘味の歴史を楽しんでいただけるような雑誌を目指しました
特集した彩花苑
ヒノデ阿免の外観はお城がモチーフ
Q.工夫された見どころポイント
「ネガティブな印象を持たれないデザイン」とでも言うべきでしょうか。僕らのつくる雑誌はフリーペーパーなので読んでいただくハードルはそこまで高くないかもしれませんが、いくら無料でも、あるいはストーリーが優れていても、デザインが目に入った瞬間に「こんなもんか」と思われてしまっては元も子もありません。
雑誌を手に取ったとき、小説のように一行目からじっくり読んでいく方は少ないと思います。僕もそうですが、多くの方はまず全体をパラパラっと眺めるのではないでしょうか。あの「パラパラ」とページを捲る行為は、読むというよりスキャンに近い。読む段階の一歩手前というか、どこか査定のニュアンスすら感じます。文章よりもデザインのほうが当然ですが先に目に入ってきますし、「パラパラ」の段階では文字すらデザインの一部です。
「せっかく店舗の方々のご厚意のおかげで良い特集が出来上がったのだから、デザインが足を引っ張ることはあってはならない」という想いで、「自遊人」や「東北食べる通信」などを参考にしながらデザインを改良していきました。
Q.雑誌を作った目的
A.尼崎の魅力をまず僕達が知ることと、それを伝えることの両方をやりたいと考えていました。雑誌を作成すれば下調べやインタビューが必要になりますし、当然発信することも可能です。
そしてまちの魅力を知るためには、ただ情報が与えられるだけでは不十分なのだと思います。情報の断片を独自に紡いでいくような存在が不可欠で、それは観光客や語り手、書き手たちの役割なのだと思っています。なので、地元のニュースにあまり関心のない方にこそ読んでもらいたいし、「甘尼」を読む前と後で尼崎についてもっと知りたいことが増えるような雑誌でありたいです。
編集者大崎も参加したイベントの様子