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4月日本語論文「介護福祉士不足と日本における認定介護福祉士の外国人候補者受け入れの地域的特徴」

  • 執筆者の写真: 介護班 栗田ゼミ
    介護班 栗田ゼミ
  • 2022年4月26日
  • 読了時間: 3分

MLA 加茂浩靖. "日本の介護サービス業における外国人介護職員の受入れ:―経済連携協定 (EPA) に基づく外国人介護福祉士候補者を中心として―." 経済地理学年報 65.4 号2019年: 280頁から294頁


【要約】

本稿では、経済連携協定(EPA)に基づく外国人介護福祉士候補者の日本での受け入れプロセスの変化、候補者の地理的分布と受け入れ介護施設、受け入れの現状と課題などに焦点を当てている。介護サービス業の労働需要について、厚生労働省は2016年の雇用者数約190万人に加え、2025年末までに約55万人、毎年約6万人の介護人材を確保する必要があると提言している。ただし、介護人材の不足は全国一律に発生するわけではなく、地域差を伴いながら進行していくという。同省では、2018年6月時点の東京都、愛知県、奈良県、岐阜県の介護サービス職の有効求人倍率が5.0倍以上となっている。EPA外国人認定介護福祉士候補者の受け入れは、2国間の経済連携を強化するための制度である。しかし介護サービス業においては、人手不足問題の一つの解決策として期待されている。そのため日本人労働者の補充が困難な介護施設では、人材確保の選択肢の一つとして捉えられている。2017年までの候補者受け入れ総数は、インドネシア1,494人、フィリピン1,400人(入学者37人)、ベトナム598人となっている。2012年頃までは、候補者の受け入れが遅れていた。しかし受入要件の緩和や介護の人手不足を反映し、2012年以降は増加傾向にある。 都道府県別に見ると、2008年から2016年にかけて、北海道、東北、北陸、九州地方では受け入れ施設が少なかった。一方神奈川県(48)、東京都(43)、千葉県・愛知県・大阪府(38)などの大都市圏では、多くの施設が候補者を受け入れていることがわかる。したがって、受験者数が最も多い地域は、介護施設での労働需要が高い地域ということになる。2017年に技能実習生制度の職種に「介護福祉士」が追加された。そのため同年、介護福祉士の資格を取得した留学生に在留資格「介護」が創設された。また日本では外国人労働者が国内で介護サービスを行う機会が増えてきたことから、2019年に在留資格「特定技能」を持つ外国人材の受け入れが開始された。EPA制度と比較すると、新3制度では労働者を派遣する国や受け入れる施設数が増加した。介護労働力不足が深刻化する中、日本の介護サービス施設では、これまで以上に外国人労働者の受け入れが進むことが予想される。そのため彼らがどこでどのように雇用されるのかを明らかにすることが研究課題となっている。また日本の労働市場における彼らの位置づけを分析する必要がある。


【感想】

今まで外国人労働者のニュースに注目してきたことはあったが介護の観点に焦点を当てたことがなかったためとても興味深かった。また受け入れ状況を地域特性を交えて観察することで大都市圏において外国人労働者が介護施設での労働需要が高いことを見つけ出した点が面白いと思った。冷静に考えれば人数が多くなれば労働需要も高くなるのは当たり前のことである。しかし数字で見ることでより現状を理解することができた。また外国人労働者を受け入れてきた制度の流れを改めて知ることもできた。この論文を先行研究として私たちの論文にぜひ生かしていきたいと思う。

 
 
 

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