(要約)
高齢者になるほど、人間は体のあらゆる機能が低下し、若い頃の運動習慣などが極めて大切になってくる。高齢者に対しては運動をさせることが有効であることは、以前からわかっていたが、どのような運動が最も効果があるのかは明らかにされていなかった。
この論文では高齢者らに対して、運動をさせるグループ、運動をしないグループに分けた上で高齢者の姿勢機能バランスが向上するのかどうかをみており、運動の種類によって改善される体の部分にどのような違いがあるのかについてみた論文である。施設に入所している高齢者らに対して1週間に2回から3回程度、介入を行った。結果、運動をした高齢者のグループは歩行能力、バランス能力、応用動作能力の全てにおいて改善が見られた。反対に運動をしないグループの高齢者らについては、バランス能力の低下などが見られた。これらの実験により、高齢者らに対して運動をさせることは、体の諸機能を改善させるのに非常に効果があることがわかった。また、運動の種類によって改善する体の部分が異なることも判明したため、それぞれの人に合った適度な運動を見つけることにも、一役かっている論文である。
(感想)
日本は少子高齢化が急速に進行しており、介護福祉の分野における負担はますます増えていくことであろう。高齢になっても身体的に元気であることが、極めて大事な時代となってくる。高齢者らが街で運動する様子をよく見かけるが、この論文を読んで改めて運動が大事であることを再認識させられた。同時に、その人に合った適切な運動をすることで、体に少ない負担でバランス能力や歩行能力を改善することができるのである。やみくもにランニングしたり、ウォーキングしたりするよりも、個人の体と対話し、それぞれにあった運動をすることが重要なのである。今後も介護福祉の分野に対する学習は続いていくが、運動が日本の少子高齢社会を変えていくかもしれないという気持ちを抱きながら、学習を進めていきたい。
米島 誠
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