(要約)
介護に携わるものの負担について議論されることは、これまであまりなかったと思う。この論文では介護に携わる介護士の負担について議論がなされており、主に慢性疾患の患者にケアサービスを提供している介護士において、重度の負担が発生していることが明らかとなった。こうした介護士の負担は医者や世間から見逃されることが多く、あまりスポットが当てられていないのが実情である。この論文においては、介護士の負担を軽減するために導入されたいくつもの介入に関わるエビデンスを参照し、介護士の負担を軽減したり評価したりしている。本論文の研究によると、介護士の負担の主な原因となるのは男女の性別の違い、教育水準の低さ、介護される側とのお付き合いの仕方、年々増加する介護の件数、経済的なストレスなどが挙げられるという。こうした介護士の精神的な負担や肉体的な負担を軽減するための心理的な介入や社会的な介入は、介護士の負担を軽減する上で、ある程度の効果が得られたことが明らかとなった。少しでも介護士の負担を軽減することが、介護士のパフォーマンスの向上に繋がるのである。締めくくりとしては、介護士の負担について社会全体がより注目するべきであり、介護士の負担軽減に向けた取り組みは、介護士一人ひとりに合わせて行う必要があると説明されている。
(感想)
障がい者介護班に入って以降、それまでの自分が全く知らなかった介護の現場をある程度は知ることができた。これまでは介護されている側の負担や、公的な制度の課題について考えてきたが、今後はより介護士にフォーカスして考えなければならないと実感している。日本では少子高齢化が年々急速に進行しており、介護士の役割はどんどん拡大していることであろう。介護士の労働時間や賃金は未だに低水準であることが多く、あまり改善がなされていないようにも思う。今後の日本が最も力を入れて取り組まないといけない問題の一つであると思うし、より介護士の負担軽減に向けた政策を実行して行く必要があると感じている。
2022年4月30日 米島 誠
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