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Challenges of organizational learning: perpetuation of discrimination against employees with disabil

執筆者の写真: 介護班 栗田ゼミ介護班 栗田ゼミ

Wooten, Lynn Perry, and Erika Hayes James. "Challenges of organizational learning: Perpetuation of discrimination against employees with disabilities." Behavioral sciences & the law 23.1 (2005): 123-141.


(要約)

本稿では、アメリカの法律「障害を持つアメリカ人法」(Americans with Disabilities Act of 1990=ADA)に焦点が当てられている。この法律は障がい者に合理的な配慮を提供することを企業に義務付ける世界初の包括的な公民権法である。しかしほとんどの組織においてADAを成功させることができていない。本研究では障害のある労働者への差別を禁止するADAを組織が順守できない理由を調査している。具体的には組織学習の困難さが関連していると考え、組織学習論とADAを順守できないことの関連性を検証している。方法としては職場での障がい者差別訴状に関する情報を複数のケーススタディとして質的分析を行っている。結果としては組織の慣習がADAを学習する妨げになったことを表している。組織の慣習とは「障がい者」として認識されている人々が職場での活動ができない、または無能であるという職場環境が社会的に構築されたものだ。それによって障がい者を受けいれるための慣習の開発を怠ってきたということである。また組織が差別的な慣習を正当化するために防衛的な慣習を用いていることも分かった。これによって経営者は自らの意思決定に責任を持つことを妨げ、回避や隠蔽を行う。学習する機会を逃し、悪い状態のままでいるのである。したがってこの研究では組織が責任を負うべきであると主張している。組織はADAを順守するための障壁があることを認めることが必要だ。さらには機能不全に陥った組織の慣習の根絶、そして組織のメンタルモデルを変えることも必要である。

(感想)

今回の論文では、ADAが順守されていないことと組織学習論を関連させていることがまず興味深いと感じた。また私たちが持ってしまっている固定概念、本稿でいうところの組織の慣習が強く影響を与えていることがとても共感できた。障がい者に対する組織の慣習は企業だけでなく学校や地域など様々な組織に当てはまると考えられる。このように組織の慣習を変えていこうとしていくことが大切なのである。

2006年12月国連で「障がい者権利条約」がつくられた。この条約は障がい者のために新しい権利をつくったものではない。障がい者が社会の一員として尊厳を持って生活することを目的としている。そして日本でも遅ればせながら2013年6月「障がい者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の邁進に関する法律)」が成立し2016年から執行されている。しかしこの法律について知っている人がどのくらい存在しているのだろうか。日本ではこの法律はまだまだ浸透していない。この法律が多くの人によって理解され、守ろうという意識が社会的に広がることが大切である。それによって組織の慣習を変えようとする意識も生まれるだろう。日本においてはまず「障がい者の差別」に目を向けていくことが大切なのではないかと思う。

(長瀬亘亮2022年2月)

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