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インドの国家サンプル調査から見た障害者雇用のエビデンスについて 2020/9月英語論文

更新日:2020年10月14日

Mitra, S., & Sambamoorthi, U. (2006). Employment of persons with disabilities: Evidence from the National Sample Survey. Economic and Political Weekly, 199-203. (9月)


本論文はインドの障害を持つ従業員が、同年代の障害をもたずに働く人に比べて賃金が低く、性別、都市か農村か、州によっても大きなばらつきがあることが2002年の全国サンプル調査によって分かった。結果より、障害者雇用は、人的資本よりも、個人や世帯の影響を強く受けることが分かった。

調査方法は、最低一人でも障害者を扶養している世帯に対して行われた。分析は荷重層別サンプリング調査を行った。プロビットにより分析。2001年当時、データによって障害者の規定が異なることから、UNが規定する各国平均の10%よりかはかなり低いが、人口の2%に相当する、21万9千人の障害者が存在していた。そのうち雇用されている障害者は37.6%だけであった。また、障害を持つ男性の方が、障害をもつ女性に比べて三倍も就職率が高かった。教育は障害者が雇用される確率にあまり影響を及ぼさなかった。職業訓練は雇用の可能性が高いことと関連していたが、この結果は今回のデータからは得られなかった。世帯と個人の特性の重要な影響も確認できた。また、政府の援助は雇用を促進するという期待された効果は出なかった。それどころか、これらの援助が障害者のための仕事の粗大要因とする可能性も出てきた。これは日本においても言えることではないだろうか。法廷雇用を達成するために、障害者を「数」とみなし、その個人にあった職を充てれないなど、よく聞く話だ。これは企業側も自分が働くのが精一杯だという背景があることも理解できるが、私は障害者を「物」として扱うように思えて仕方ない。つづいて、障害の種類が雇用に関係することも分かった。聴覚障害・言語障害・運動障害の人たちの方が、精神障害の人に比べて雇用率が高かった。これは日本でも身体障害者の方が、知的障害者・精神障害者に比べて遥かに高いことと同じだろう。インドにおいて、このような結果になったことに関して筆者は、「障害によって行える仕事の量と種類、障害者への期待の低さや、差別などの社会的態度、そして障害者の雇用に関して最終的には不利な政策環境」があると述べている。この問題はまさに日本も、世界も直面している問題ではないだろうか。真摯に向き合い、問題解決に尽力しなければならない。これは決して障害者だけの問題ではなく、私たち社会が作り出している問題なのだと考えさせられる面が多々あった。(橘 知里 2020,9)

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