発達障害の子供の教育は、子供によって適した教育法が違い、まだ探りながらのところが多い。本論では、実際の教育現場で発達障害の子供と接する保護者や教師の立場から、どのように子供と接するべきか、接して欲しいかを知ることが出来た。
大分県の特別支援教室がある中規模の中学校1校に、教師数名に質問用紙によるアンケート調査を行い、発達障害の子供を持つ保護者1名に面接調査を行って、過去行われた発達障害の子供や発達障害が疑われる子供への教育とその対策、実際現場に立ってみて感じたことを調査した。その中でも特に印象的だったのが、次の2点である。
まず1つ目は、「先生方が、担任以外に当該の子どもさんの支援に特に必要だとお考えになるのはど の教諭ですか。」という質問に対しての回答に回答した15名中14名が特別支援学校教諭と答え、1名が養護教諭と答えていた点である。特別支援学校教諭が必要であると感じるのは大いに理解できるが、保健室登校をしている子供が少なくない中、養護教諭と答えた先生が1人だったのは意外に感じた。一方で面接調査を行った保護者は、養護教諭の先生に子供だけでなく自分も精神面で非常に支えられたとしており、その必要性が伺える。
次に2つ目は、「学習障害の理解を得るために、学校側が学習障害と医師から診断されている又は先生方 におかれまして学習障害と思われる子どもさんの保護者と話し合い、周囲へ告知することは どのようにお感じになりますか。」という質問に対して回答がバラけていた点である。積極的に告知した方がよいと考える先生もいる中、保護者の理解をどこまで得られるかに不安があり踏み切る勇気がないと考える先生もいた。この問題は非常に難しく、繊細に扱うべき点であると考える。不用意な告知は子供たちに差別意識を与え、発達障害の子供に辛い思いをさせる可能性がある。保護者の場合も同じことが言える。
発達障害は症状が分かりにくく、理解を得ることが難しい場合がある。教科書の位置を変えたり、短く文を区切ったり工夫をすれば問題なく文を読み問題を解くことが出来ることをちゃんと理解し、子供の能力にあった教育を行うことが重要であること、子供だけでなく、その保護者も精神的にも支援が必要であることが明らかになった。まだその教育法も情報も様々で、教師も子供も保護者も理解が及ばないことがある。その時に差別など悲しいことが起こらないように、正しい情報を伝えること、その伝え方がとても重要になってくると考えることが出来た論文であった。(2020年11月橘知里)
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