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視覚障害者誘導ブロックに関する敷設者と利用者の意識からみた現状と課題

執筆者の写真: 介護班 栗田ゼミ介護班 栗田ゼミ

田中直人, & 岩田三千子. (1997). 視覚障害者誘導ブロックに関する敷設者と利用者の意識からみた現状と課題: 福祉のまちづくりにおける高齢者および障害者を考慮したサインデザインに関する研究. 日本建築学会計画系論文集, 62(502), 179-186.


この論文では、主に視覚障害者のために設置された点字ブロックについて、点字ブロックを設置した側と、点字ブロックを利用する側の意識の比較を行い、さまざまな発見をしている。まず点字ブロックを設置する側としては、公共施設や歩道に優先的に設置しようしているのに対し、実際に利用する視覚障害者らからは、駅のホームや階段といった危険度の高い場所に設置することを望んでいることが分かった。点字ブロックを利用する側としては、危険な場所を事前に知らせてくれる役割としての点字ブロックを望んでいることがわかる。また、設置する側は点字ブロックの色と周囲の景観の調和を望んでいたが、利用者としては周囲の色との対比を強調してほしいことが分かった。さらに点字ブロックを敷設する側は、点字ブロック上にある障害物の除去に取り組んでいるが、それにプラスして歩道の拡張などを望んでいることが分かった。最後に、この論文では視覚障害者に対する配慮を行なっているつもりでも、実際にはニーズとかけ離れたものになっていることを指摘している。道路上に引かれたラインや階段の手すりについて、敷設者は評価しているものの、実際に利用する視覚障害者からは評価されていないなど、より利用する者の側に立った構想が必要になると説いている。


この論文を読んで、やはり現状の障害者に対する配慮は全く足りないということがよく分かった。点字ブロックや音声案内の機械を設置しているのは視覚障害を持っていない健常者であり、彼らと視覚障害者の間にある認識の隔たりが強く感じられる論文だったように思う。また、点字ブロックの色や素材についても、視覚障害者の方々は様々な考えを持っており、決して現状のままではいけないと強く思いました。また点字ブロックに期待する役割としては、点字ブロックを設置する側は「案内の役割」を強く期待していたが、利用する視覚障害者の側は「危険な場所を認識させてくれる役割」を期待しているということがよく分かった。これは自分にとって新しい発見であり、今後の障がい者介護班での活動にも生かしていきたい考え方であると思った。このように、障がいを持っている人間とそうでない人間の間には大きな「見えない壁」があると思う。この壁を取り払うことが、このゼミにおける自分の宿命であると感じている。何よりも「現場の声」を大切にした支援を行っていくことが重要であり、決して自分の考えだけで決めてはいけないと感じた。

                            (米島誠2021年11月)

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