中村哲、澤地久枝(2021)「人は愛するに足り、真心は信じるに足る。アフガンとの約束」『岩波現代文庫』
【要約】
本書は日本人としてアフガニスタンの医療活動などに従事された中村哲さんとそれを聞き手として話を聞いた澤地久枝さんの会話がまとめられている。2人の会話では中村さんの生い立ちから会話が進められ、アフガニスタンでの活動や国際協力について話が進んでいく様子が書かれている。中村さんの代表的な活動であった水路の整備についてのお話や、それらの活動の率直な気持ち、現地の厳しい現状、国際協力への思い、人としての生き方など熱い思いが語られた言語録になっている。この本にはすべてではないが中村哲さんがアフガニスタンで行ってきた活動の姿や思いが詰まっている。海外で国際協力を考えている人はもちろんだが、多くの人々に読んでもらいたい1冊となっている。
【感想】
私は2019年12月4日中村哲さんが銃撃され、死亡したというニュースを見るまで彼のことを全く知らなかった。そのため彼についてはその後のニュース番組や特集を通じてしか情報を持っていなかった。そのため本人の言葉が記されているこの本は私が中村哲という人物に対する思いを大きく変えた。アフガニスタンで活動していたと言葉では簡単に表すことができるが、その現実は深刻で困難なものであったことを強く感じさせられた。また彼の平和への思いや水がどれだけ大切なものかということを知った。もう二度と中村さんと出会ってお話しすることはできなくなってしまった。しかしこの本を通じてたくさんの人に少しでも彼の思いや行動を知ってほしいと思う。
Comments