又地淳(2017)「JICAによるSTEM教育分野の国際協力 -アフリカを中心に-」 アフリカ教育研究8, 16-35
【要約】
科学技術開発を担う人材を育成するためのSTEMの教育が重要視されている。科学技術開発は、産業の発展を支えるために必要であり、これにより、経済成長が起こる。かつて、STEMの教育は一部の生徒に対してだけでよいと考えられていたが、技術の進歩や地球規模の課題への対応等が必要である現代では、全ての人が科学に対する教育を受けるべきであると考えられるようになった。
JICAは、1990年代から基礎教育分野とくに、教育の質の改善に力を入れ、世界41か国で、理数科教育の改善を目的とする様々な技術協力プロジェクトが行われている。アフリカ諸国でも、上記のような技術協力が行われているが、学力テストの結果は、他の地域よりも低くなっている。その要因として、カリキュラム、指導実践、評価、教材、教員などの課題が挙げられる。課題に対応するために、授業改革が行われ、ASEI授業やPDSIアプローチ等が開発された。これらの変革により、持続的な現職研修の仕組みの構築、授業実践の改善、生徒の授業参加度の向上などの成果をあげ、理数科教育の改善に寄与してきた。だが、研修での指導法が教室では発揮されない、生徒の理解な思考力を促進するものになっていないかもしれないというさらなる課題も見られるようになった。教育を支援するにあたって、アフリカであれば、アフリカに根ざしたカリキュラムや指導方法の開発がされることが望ましいが、自然との共生が重要視されている日本の理科のカリキュラムや指導法は、科学教育教科の支援に対する強みになると考えられている。
【感想】
この論文を読んで、教育の国際協力というものが、難しいということを実感した。知識を教えるだけでは、上手くいかず、教師がどのように教えたら現地の生徒にうまく伝わるのか等授業をつくるということにも関与が必要であると分かった。また、アフリカであれば、アフリカに根ざしたカリキュラムや指導方法とあるが、この部分からその場に住んでいる人の生活や、慣習、文化といったものも含めて技術協力を行っていく必要があるといわれているように思う。このことは、教育だけではなく、他の国際協力、さらには、政策を考える際にも忘れてはならないものであると考える。
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