『Children’s Education and Parental Health: Evidence from China』by Zhiqiang Liu
American Journal of Health Economics Jan 2021Volume 7, Number 1pp. 95 – 130
要約:
2011年に実施されたChina Health and Retirement Longitudinal Study (CHARLS)のデータを用いて、成人した子供の教育が親の健康に与える影響を推定した。
その結果、教育水準の高い子どもを持つ親は、自己評価による健康状態が良好であることがわかった。学校への地理的近接度を操作変数として用いたところ、子供の教育年数が1年増えると、親の健康状態が良好になる確率が約7.7%ポイント増加することがわかった。この結果は、代替的な識別戦略に基づく推定値でも裏付けられた。また、喫煙行動、予防医療の利用、そして特に慢性疾患の管理が、子どもの教育が親の健康状態を改善する潜在的な要因であることを示唆する証拠を得た。
感想:
高い教育水準をもつ子どもの親は健康状態が良好であるということは、子どもへ教育投資をすることは、親自身の健康状態にもよい影響を与えるといえる。
しかし、分析手法が「操作変数法」である点や、あくまで「親の健康状態」は極めて主観的な健康状態である点、また基本的に衛生環境が悪く、平均寿命も日本や中国などと比べて短いことから、現在バイアスがかかることが予測されるので、途上国で同じ結果が得られるかどうかが分からない点などは課題として残るだろうと考える。
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