「インドネシアに生きる~南の国のシニア海外ボランティア~」(著)岩崎広平
【要約】
本書はJICAのプログラムの一つである、“シニア海外ボランティア”が実際にインドネシアにおいてどのような取り組みや役割を担っているのかに関して述べられている。“シニア海外ボランティア”とは、海外の途上国の役に立ちたい、自分の知識などを広めたいなどと考えている中高年の方々の願いを叶え支援していこうとする制度である。高い技術や経験を有する日本人がまだ技術が最先端ではない途上国の発展のために、製鐵に始まり漁業や造船、農業や日本語教室などといった幅広い分野での支援を行っている。どちらかといえば、生産国である東南アジア諸国に対して、ただ技術を伝え広げようとするのではなくともに問題に向き合い、現地の方と手を取り合って成長していくといったことを中心としているため、人々からも信頼や尊敬をされていることがわかる。また、日本ではできても海外には同じ技術がないどころか水準ですら同程度でないこともあるため、資金力などの制限もあるなかで容易に最先端の技術を導入することもままならないために現地のものを使って、あるいは応用していくといった一筋縄ではいかないボランティアの方々の様子も描かれている。
【感想】
今回、本書を選んだ理由としては今夏自分が実際にJICAとのつながりを持ちつつマダガスカル農村への調査やインドネシアに訪れて観光の調査を行う機会を提供していただいたことと、JASNIDSという学生団体、とりわけ途上国に対してのボランティアを中心とする団体と関わる機会が多いことが大きい。ただ、あくまで自分たちは調査のために現地に足を運ぶという部分がボランティアとは目的の根幹というものが異なっているかもしれない。しかし、現地での活動というものが一筋縄ではいかないことや今後関わりを持つことになるJICAがどのような活動を途上国に向けて行っているのかということを知ることはできたため、心の準備やその過酷さ、困難さというものを書籍を通じてではあるが自分の中に予備知識として蓄えることができたため、非常に有意義な一冊となった。
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