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Orphan volunteer tourism in Thailand: Volunteer tourists’ motivations and on-site experiences

Proyrungroj, R. (2017). Orphan volunteer tourism in Thailand: Volunteer tourists’ motivations and on-site experiences. Journal of Hospitality & Tourism Research, 41(5), 560-584.



Volunteer Tourist

という言葉を聞いたことがあるだろうか。



もっともよく引用される定義は、Wearinrg(2001)による定義である。


[T]hose tourists who, for various reasons, volunteer in an organized way to undertake holidays that might involve aiding or alleviating the material poverty of some groups in society, the restoration of certain environments or research into aspects of society or the environment.


つまり、一部の社会的グループの物質的貧困の支援や緩和、特定の環境の復元、社会や環境面への研究に、組織的な行動の元休暇を利用する人々のことである。


筆者自身としては、日本ではまだ馴染みのない言葉のように聞こえるが、遡ると、20年前ほどからVolunteer Touristに関する研究が行われている。


ある調査によると、2008年時点でVolunteer Tourismの組織は世界で300以上に上り、その60%以上の組織がさらにボランティアを目的とした観光客を受け入れたい。という姿勢を示しているという。また、Volunteer Touristの潮流は、webサイトのアクセス件数からも明らかである。2012年4月時点の「Volunteer Tourism」の検索件数は、4,850,000件にまで到達し、2008年時点の230,000件と比較すると21倍近くまで検索件数が増えている。さらには、2003年時点では、683件のVolunteer Tourismのプログラムが募集されていたが、2007年には3.5倍の2,446件のプログラムの募集があった。


これらの現状から、ボランティアを目的とした観光の市場が世界的に拡大傾向にあり、今後の可能性も秘めた分野であることがわかる。


当論文では、そのようなプログラムに参加する「Volunteer Tourist」のモチベーションと、現場での経験について、タイの孤児を対象としたボランティアのプログラムへの参加者を対象に調査データを元に研究している。


参加者のモチベーションは、5つに大きく分けられる。

A. 子供の手助けをする為

B. 個人的な能力の成長の為

C. 新しい経験をする為

D. 現地の文化を学ぶ為

E. 人と出会い親しくなる為


現場での経験は、大きく以下の4つの側面に影響を与える。

A. 個人的な成長

B. 社会的側面

C. 文化的な側面

D. 感情的な側面


当論文は、上記の分類分けを行い、それぞれの回答者の発言も取り上げている。Bモチベーションには、将来教師を目指している人の発言もあり、興味があれば是非一読してほしい。


また、当論文は「Volunteer Tourist」の発生についても補足的に議論している。参加者の多くは、途上国での自然災害などの報道を見て、関心を持って参加しているという。そのような意味で、さらなる報道の促進が「Volunteer Tourist」の拡大に拍車をかけるのでは無いかと推論している。最近では、アマゾンの森林火災がInstagramを通じて情報が広がった。


著者も述べていたが、必ずしもボランティアをする際に、「利他的」な動機がなければいけないのかというとそうでは無い。上記で挙げられていたよう、参加意欲の4/5は、自分に矢印の向いた内容でもある。

「自己利益を求め無いのがボランティア」である。という傾向が一般的には強いのでは無いか。また、強すぎて、「自己利益を求めてはいけないのがボランティア」というところまで到達してしまっているのでは無いか。と、学生団体に入っていた経験から思い当たることがある。確かに、「自己利益を求め無いのがボランティア」であるが、いささかその点ばかり強調されすぎているのでは無いだろうか。個人的には、始める「きっかけ」はなんでもいいのだと思う。実際にボランティアを通して他者と関わる中で、自分の中に何かしらの変化が起きて、いつの間にか、入った時とは全く違う志を抱いている時もある。


そのような意味では、初めからボランティアに強い憧れを持つ人のみに焦点を絞るのではなく、参加者がもっと気軽に参加できるよう、ボランティアの機会をまずは広く提供する事がこの分野に携わる者たちに必要な事なのかもしれない。


【参考文献】

・Proyrungroj, R. (2017). Orphan volunteer tourism in Thailand: Volunteer tourists’ motivations and on-site experiences. Journal of Hospitality & Tourism Research, 41(5), 560-584.

・Wearing, S. (2001). Volunteer tourism: Experiences that make a difference. Wallingford,

England: CABI.

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