「国際協力師になるために」
山本 敏晴(2007)
株式会社 白水社
《要約》
この本は、国際協力師という、「生活するのに十分な給料をもらい、プロとして国際協力を持続的に行なっている人々」の事を指し、その人材になれるように身につけるべき知識やおススメする経験について述べている。
国際協力の世界はある一定期間に、なんらかの数字で結果を出す世界である。その中で貧困問題を解決するにはお金あげるだけでは不十分であり、今までは基本的に外交カードの一つとして使われていた。具体的には、発展途上国に対し、資源の採掘権や国連の常任理事国に立候補した際に賛成と答える。という発言権を先進国がお金を払う。そして、お金を受け取った発展途上国は、大半を貧困改善のためには使わず、悪徳政治家の懐に入ってしまっている。結果的に国際協力は発展途上国の人々の間の貧富の格差を拡大させていた。
《感想》
私はこの本を読み、国際協力は一体何なのかを理解出来た。同時に国際協力に関する活動を行なっている団体への興味も湧いた。
しかし、国際協力を行なって発展途上国の人たちの貧困格差を是正するには、数えきれない程の問題が重なっていることに気づいた。
したがって、一つの問題だけ直しても結局もう一つの問題がその修正点を無意味なものに変えている。私が1番印象的だったのは医療問題に関してである。それを解決する方法がプライマリーヘルスケアである。医療というものは医者や看護師が与えて、住民が受け取るというものではなく、住民が自立して自ら行なっていくという考えのことである。つまり、地域社会の自立・発展を促し地域に根ざした形の「ヘルスワーカー」を育成していくという概念である。途上国では、下痢の症状で命を無くす人が多い。簡単な医療で治すことが出来るのにそれを治す医療サービスがない事で、命を失う。したがって、先進国のODAといった支援は、医者を派遣するだけではなく、途上国の、しかも貧困層に位置する人々が自らのコミュニティーの中で、自らが医療従事者となり、かつ公衆衛生の担い手となれる人材を育成するシステムを作り上げることが必要だと実感した。地域社会全体と自分自身の健康増進を同時に行うことで、開発や援助において大きなステップアップになる。これからプライマリーヘルスケアを行なっている論文を探してみたいと思った。
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