JASNIDS 5月 月一論文(日本語)担当:K10 長瀬亘亮
【要約】
国連をはじめとする国際協力機関において,キャパシティ・ディベロップメント(CD)が重視されている。これは「個人,組織,制度や社会が,個別にあるいは集合的にその役割を果たすことを通じて、問題を解決し、また目標を設定してそれを達成していく能力の発展プロセス」である。本稿では、開発途上国における青年海外協力隊活動としてアフリカのセネガル共和国をとりあげ、学校、地域社会での個人や組織の能力(CD)向上における「ものづくり」の可能性を検討した。方法は青年海外協力隊員(JOCV)に関わるデータ及び報告書を分析し、「ものづくり」を通して学習者に身についた力や強化された能力、その過程においてJOCVの果たした役割を検討した。結果としては教育の一環として学校などで行われる場合、現金収入や生活向上のために地域で実践される場合、いずれの場合においても「ものづくり」は,ものに即してアイデアを表現する中で,自ら判断する機会や能動的に活動する時間が多いことや苦労や喜びを味わいながら多くの知識や技術を獲得できるといった意義が認められた。また形ある「もの」を共通の「ゴール」としてめざすという特徴をもつので、JOCVの活動上の阻害要因としてあげられることの多い言葉の問題が軽減された。そして得られた「もの」が生活に役立ったり現金収入につながったりすることが誘因となって「ものづくり」活動の継続につながった。さらに隊員が製作者のキャパシティを見極め必要な情報を提示することによって彼らの判断を促し、主体的に「ものづくり」を行い継続していけるようになった。それによって個人や組織は「ものづくり」を通して他の組織や地域社会とのつながりを増やしていくことが分かった。
【感想】
国際協力における「ものづくり」の大切さを強く教えてくれる論文だった。そのなかでも「ものづくり」が教育としても現金収入としても有効な手段であることが表されていたことが興味深いと思った。この「ものづくり」の可能性の大きさは私たちの活動の中でも生かせるのではないだろうか。発展途上国の開発援助における「ものづくり」の大切さが本稿では学ぶことができたが私たちのイベントにおいても「ものづくり」を共通のゴールとして生かすことができると感じた。
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