Randall A. Kramer, Daniel D. Richter, Subhrendu Pattanayak and Narendra P. Sharma
Journal of Environmental Management (1997) 49, 277-295
要旨
世界から急速に消えている熱帯雨林は様々なモノやサービスを提供しているが、流域保護もそのうちの1つである。それによる利益としては、高地における洪水による影響の軽減が重要だ。本稿は東マダガスカルにおいて高地林地の保護が洪水の影響の軽減にどれほど効果的なのか、またその利益がどれほどか計測する数少ない研究である。
本稿で使用している3段階モデルは、価値の経済概念と保護地域の生物物理学的な概念との関係を調べるために使われる。このアプローチは、遠隔感知システム技術と土壌・水文化学と経済を結びつけるものである。第1段階では、土地の使われ方の変化とすぐ下流での洪水との関係が、遠隔感知システムと水文科学の水流に関するデータによって確立されている。第2段階では、同時期の水文科学の水流に関するデータと農業における水害報告を比較することで、洪水を減少させることによる影響と農作物生産を関連づけた。第3段階では生産性分析が採用され、生産者余剰が失われた期間と同時期に発生した洪水による影響を評価した。
マダガスカルの東部にあるマンタディア自然公園は、土地の変換と水文科学的なパターンの変化を防ぎ、洪水による被害を軽減するように設計されている。このような洪水被害の防止は、水域保護による主な社会便益といえる。
感想
森林の保護が森林だけでなく周辺の水域の保護にも良い影響を与えているということが、学術的に理解することができた。三田市の里山の保護から武庫川の流域にも活動範囲を広げる私たちの裏付けになったと考えられる。
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