要約
本書は、世の中に存在する生命を生物学の視点から、著者の福岡さんが内田さん、川上さん、朝吹さん、養老さんと対談している本である。生命とは、普段私たち人間が大切にしているものであり、毎日食事をするときには、食べ物に対して感謝の挨拶をする。生物学から見ると、食事というのは、本来自分の体を形作っていた原子が食べたものの代わりに体の外に抜き出す一連の流れである。つまり「生きている」ということは、体の中で合成と分解が絶え間なく循環しているということになる。この循環を止めないために私たち人間は食べ続けるのである。本書で福田さんは、この流れを動的平衡と名付けている。
感想
私たちは、1人だけでは生きていけない。様々な生き物がいるおかげで今生きている。そんなことは誰でも理解している。しかし、それは、表面的なものでしかない。本書で言語化されていたように生命は「動的平衡」を繰り返し、生きている。人は外観的には変わらないが、毎日原子レベルで変化している。要するに、今の自分は自分ではなく、また、自分で形作っているのではなく、この世界が、自分というものを作っているということである。このようなミクロ的な視点から生きることを考えることで生命の大切さがこれまで以上に大切に感じられるのだと学んだ。これは、決して生命だけに関係することではない。これらの循環は、経済でも言える。経済も日々循環している。しかし、このことも「動的平衡」のようにしっかりとミクロの視点から見ることが大切である。しかし、大抵の人は、表面的でしか見られておらず、その真意を捉えることができていないのではないかと感じた。
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