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『種の多様性は、種間のつながりを通して生態系の機能を高めうるか』

著:Cardinale, Bradley J., Margaret A. Palmer, and Scott L. Collins. (2002) Natureより


要約

生態系のなかで生息する生物は、それぞれが自らの生態系における機能(役割)を有している。

しかしながら、この機能がどのような要因(生態系に存在する種の特徴、種数、他の生物種とは異なる役割の数)によって決定づけられているのかについては、未だ明らかになっていない。


本稿では、そうした要因を3つ(種多様性、機能的多様性、機能的構成)に絞り、生物(植物)の機能に与える影響の差異についてのフィールド実験を行っている。


結果として、機能的多様性は種多様性よりも生態系に大きな影響を与えていることが判明した。つまり、他とは機能的に異なる役割の数こそが、生態系内部での生物それぞれの機能(役割)を決定づける要因だといえる。


しかし、種多様性と機能多様性には相関があるため、どちらか一方だけが重要であるというわけではない

また、生態系に対する機能的構成の影響も無視してはならないといえる。例えば、外来種の侵入(生態系攪乱)、窒素沈殿、捕食者の間引き、種の絶滅などといった、既存の生態系の仕組みを大きく変動させてしまう要因に対しても、施策を講じる必要があるというわけである。


とどのつまり、生態系に属する生物がその環境で示す役割を主眼としつつも、他の要因も同時に考慮した施策を行うことが肝要だといえる


感想

「なぜ生物多様性が重要であるのか?」


その問いに対する答えは様々あり、中には「景観が損なわれるから」といった生態学的ではない答えをもって自然保護活動を行われている方も多いかもしれない。


しかし、本稿のように、『どのような要因が生態系に良い影響をもたらすのか』をしっかりと認識した上で活動を行っていくことで、更に効果的な環境保全活動が行えるのではないかと思った。


参考文献

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