top of page
  • 執筆者の写真 

【2月 書籍】 山のごちそう どんぐりの木

作: ゆのき ようこ


【要旨】

 『山のごちそう どんぐりの木』という絵本は、コナラの木が1年を通して成長する姿を見ながら、そこに集まる生き物との繋がりを知ることができる絵本である。簡単なあらすじは、 以下の内容である。

 冬、コナラの木は枝先にたくさんの芽をつけて、春を待っています。

 芽のなかに大切な宝物を守りながら。

 春になると芽がふくらんで、やがて小さな葉が顔を出します。

 “め花”が受粉してどんぐりが育ち、秋になると風にゆすられてパラパラと落ちてきます。

 コナラの木が春夏秋冬、虫や鳥や動物そして人間に、ゆたかな恵みを与えてくれる様子が描かれます。


【感想】

 このように、『山のごちそう どんぐりの木』は、コナラの木が1年を通して成長する姿を見ながら、そこに集まる生き物との繋がりを知ることができる絵本である。たとえば、オトシブミという虫がコナラの葉に卵を生み、生まれてくる幼虫の「ゆりがご」にする。そして、幼虫はその葉を食べて育ち、葉を食べて大きくなった幼虫が、今度は鳥のえさになる。このように、ストーリーを追うことで、食物連鎖を感覚的に学ぶこともできる。最後は、ねずみが落ち葉の下に隠したどんぐりが、春になって新しい木の芽を出すといった、コナラが生き物から受ける恩恵も描かれていた。物事について“知りたい”欲が育ってくる幼少期では、自然に関しても、より掘り下げて考えたり、調べたり、自分の知識として体系化することだろう。そんな時期に、この絵本をおすすめしたいと感じた。また、Nature to Future2022では、体験教室のみではなく、絵本ブースや図鑑ブースを作るのもいいと感じた。それについても、考えていきたい。

最新記事

すべて表示

【6月 日本語論文】”自然教室”を事例とした我が国における野外教育活動の実態に関する調査  吉田 章

【要旨】 都市化・機械化をはじめとする近年の著しい社会状況の変化が、児童・生徒を中心とした青少年の健全なる育成に対して多くの好ましからざる影響を与えている。そこで本論では、自然教室に着目し、実施の実態について文部省資料を参考にすると共に各地の教育委員会を対象として自然教室に対する期待と問題点を中心とした調査を行ない、それらの結果について野外教育的観点から考察を行なった。その結果、自然教室をはじめと

【6月 英語論文】

Outdoor risky play and healthy child development in the shadow of the “risk society”: A forest and nature school perspective Nevin J. Harper 【要旨】 本論のテーマの日本語訳は、『「リスク社会」の影に隠れる野外遊びと健全な子どもの発達:森林と自然学校の視点』で

【6月 日本語書籍】ぼくのコレクション 自然のなかの宝探し  盛口 満

【要旨】 教員である作者 盛口満が、毎日のように雑木林の小道を歩いて集めた自然のなかの宝物である枯れ枝、木の実、種、花、葉、虫、抜け殻、卵、羽、フンなどといった、さまざまな自然が並ぶコレクションボックスのような絵本であった。春夏秋冬とそれぞれの季節ごとに、見つかる宝物や採取できる場所を丁寧に楽しく紹介しくれていた。 【感想】 林にかこまれた小川沿いの田んぼを「谷戸田(やとだ)」と呼ぶこと、やそこで

bottom of page