「要約」
本書は、まず日本の豊かな自然や風土、自然観、宗教などについて歴史的背景にも基づき説明がなされている。そこから日本人がどのようにして自然と共生してきたのかを、縄文人の生活習慣なども交えて書かれている。また、花と日本人の関係は興味深く、新たな知識をもたらすものであった。そして、温暖化や食糧・エネルギー問題など現代の環境問題について、詳しく書かれている。
「感想」
本書を選んだ理由としては、同月の日本論文にて日本人と欧米人の自然観には大きな違いがあるということを学び、日本人でありながらも、自らの自然観について再考したいという気持ちが生まれたからである。本書の冒頭で、「日本人は自然を大切にしてきたわけではない」という記述がある。私は、この記述に違和感を覚えた。火を焚くためや住居を建てるために薪を切り出すことは、大切にしてきていないと断言できるほどのことなのだろうかと感じた。日本人と欧米人の自然観の間に決定的な差が生まれたのは、日本に仏教が流入したことにより、霊魂の存在が民衆に認められるようになったことだと感じた。これが存在したことにより、欧米の自然と人間の二元的な考え方は生じなかったのであろう。また、日本人の桜に対する独別な感情も理解できた。近年は桜の美しさが海外でも広まってきたが、比較的色の淡い桜を好んできたのは日本人のみだ。その要因としては、もちろん桜の控えめな美しさもあるが、詩人などがその魅力に気付き、作品に桜を入れたことも大きく影響しているように感じた。
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