【要旨】
本論文の目的はカンボジアの農村部の森林保護について、仮想評価法を用いて実証的に調査することである。分析に用いるデータは、2016年9月に行った調査のものであり、調査対象は、カンボジアの首都シェムリアップの7つの村とこれらのプロジェクトに招待された現地住民である。調査項目としては、「森林保全活動(ボランティア)の参加日数」や「ボランティアに参加する場合、その保護対象が植生か森林管理にこだわるか」「伐採作業を控えた日数」などである。総勢233人(男性74人、女性159人)に調査をした。主な結果としては3つある。1つ目は、自然アクティビティと森林保全活動参加は別物であること。2つ目は、植生や森林管理、伐採を控えるなどは社会経済属性(性別、年齢、家族構成人数、世帯所得、教育水準、職業、森林使用目的)によってことなること。3つ目は、世帯所得と教育水準は森林保護の参加に影響を与えないということである。
【感想】
結果にある、世帯所得と教育水準が森林保護活動の参加に影響を与えないということは、Moribitoの活動からも感じられる。森林に限らず環境保全活動に参加される人々は、年齢層や性別、職業など幅広いと思う。こういった活動への参加を促すためには、特定の層にアプローチするのではなく、幅広い年齢層に広くアプローチするべきである。ワークショップなどであっても、そもそも環境や自然に全く興味のない人の参加率は低いと感じる。そういったものに対して興味のある人を取り込むとともに、義務教育での環境自然教育もこれまでと同様に継続するべきだと思う。
Comments