身近な自然との一体化体験における中学生の意識の実態
-中学校理科でのディープ・エコロジー・ワークの実践を通して-
山本容子
【要旨】
本稿では、中学校理科においてディープ・エコロジーの視点を取り入れた授業を実施することで、中学生が何を感じ、どう考えたのか、高校生の結果と比較しながら論じられている。ディープ・エコロジーとは、「環境倫理思想の代表的な一つである。提唱者であるNaessは、現代の環境問題を引き起こした我々の精神の内面性それ自体を問題とし、現代の社会システムと文明の中で失われてしまった自然との関り・一体感、そして自然の中での自己実現を通して生命の固有の価値を見つめ直すことを提唱している」ものである。これをもとに作られた授業を高校生に実施した結果、自然との一体感や心の安定を感じ、自然保護への考えが生まれた。中学生においても、心の安定を感じたり、心が豊かになったと感じる生徒が見受けられた。高校生との差異としては、自然保護への考えが生まれたことに加えて、実際に植物を育ててみたいなど、より具体的な行動への促進も見られた。
【感想】
ディープ・エコロジーという考え方は、初めて知った。現状の教育内容では、自然などを身近に感じづらく、生徒の実践的な行動を促すことが難しい。しかし、こういったプログラムを組み込むことによって、環境保全は大切だという考えを持ってもらうことだけにとどまらず、その思いを実際の行動に移すことも実現できると感じた。
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