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【7月日本語論文】 配慮したエネルギー消費行動の変容に係る要因,介入手法,及び介入効果に関する文献レビュー 川本弥希・錦織聡一・日髙一義

【要旨】

 本稿では家計と個人の環境に配慮したエネルギー消費行動について、環境に配慮したエネルギー消費行動を決定する要因、エネルギー消費行動に影響を与える介入手法、介入によるエネルギー消費行動の変容と効果に関して、システマティックレビューを行う。システマティックレビューとは、実証実験の中で出てきた疑問点に対して、類似の研究を調査し、質の高い研究論文の分析・統合などを行うことを言う。分析手法としては、電力消費とそれ以外の消費の環境配慮行動における行動変容要因、介入手法とその効果の共通点、相違点を考察することで、問題点や課題を明らかにする。

 結果としては、環境に配慮したエネルギー消費行動を決定する要因は個人的要因と状況的要因の2つに分けられ、個人的要因としては人口統計学的要因年齢、性別、教養リテラシーなど)と心理的要因(認知能力、価値、信念など)があげられた。また、状況的要因としては構成的・社会的要因(法律、規制、政治など)が挙げられた。エネルギー消費行動に影響を与える介入手法については、事前的介入、事後的介入、事前と事後的介入が混在した介入の違いを理解し、研究目的に合った適応が示されている。介入によるエネルギー消費行動の変容と効果については、1つの実証実験で結果を一般化することは不十分であることが示されている。また、RCTなどを用いた実証実験の推奨がなされている。


【感想】

 自然に関する介入効果のモデルが整理されており、とても勉強になった。最後にも指摘されているように、RCTを行うことの大切さを実感した。Moribitoで考えていた研究においても、やはりRCTを行うことが不可欠であると思う。また、イベントによる介入効果などを測る場合において、調査対象者の心理的要因なども欠かせないことを学んだ。現段階では研究内容として取り込めていなかったので、再考する必要を感じた。社会は再生可能エネルギーなどへの転換期にあるが、これが無事に遂行されるためには、個人や家計レベルでの意識改革が求められる。環境意識の変化を捉えようとしていることは、新たな社会に向けた研究の一助となる可能性も秘めていると思う。まずは日々の勉強と活動に邁進していこうと改めて感じた。

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