【要旨】
本稿では夏の子ども向けイベントにおける外来甲虫の扱われ方についての調査を行い、イベントでの子どもたちの様子から、子どもたちが受ける影響について考察している。外来甲虫とはカブトムシやクワガタのことを指している。これらの多くは輸入されたものである。こういった昆虫が野外に放出され、野生として発見される事例も増えてきている。また、日本だけの問題ではなく輸出国でも、希少な昆虫が大量に採集されることで生態系に影響を与えている。
輸出量が伸びているひとつの要因として、子ども向けゲーム「ムシキング」の流行がある。生きた虫の形状や性質とゲーム内での甲虫のイメージがリンクしており、子どもたちに大人気である。その中では甲虫の点数化がされており、「つよさ」として100~200点までが付けられている。その結果、子どもたちは甲虫と「つよさ」をリンクさせて把握しており、歪んだ自然観形成がなされている懸念がある。こういった事情もあり、イベントなどで使用される甲虫は点数の高い甲虫たちが多いことが分かった。これらを踏まえて、大人として「大人が子どもたちを囲んでいる環境を認識すること」「実際の昆虫体験・自然体験をすること」「科学の視点を重視すること」「大人が科学的自然観を持ち 正しく活用すること」が求められるとしている。
【感想】
子どもたちの自然観形成について、自然に関するゲームを用いて研究しており、大変興味深かった。ゲームの面白さと実体験としての自然の面白さは異なる。しかし、こういった発展によってその境目が曖昧になってきてしまっている。ゲームから自然に興味を持った子どもが、現実での自然に触れた時、ギャップを感じることもあると思う。この区別は子どもには難しいことであるからこそ、大人としてどちらも適切に用いることが大切なのだろうと思う。ゲームは自然に興味を持つきっかけを作り、実体験では五感で感じる自然の素晴らしさがある。同じ層として考えることなく、使い分けることが大事だと思った。それによって、環境保全における次世代の担い手もたくさん生まれてくると感じた。
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