【要旨】
本稿では、日本で実施された「感性的側面から環境意識をたかめるための『リサイクル工作』」ワークショップを中国・内モンゴルの大学で実施し、プログラムの有効性を検証している。中・内モンゴルの大学生は、これまで「リサイクル工作」授業を行った経験が全くない人が72.3%を占めており、日本よりも高い数値となっている。また、受けたことがある学生でもその印象が残っていないことから、授業の内容の改変が必要であることが分かる。授業の前と後にテストを実施し、そのプログラムの有効性を測る。テスト内容としては、①古いものと新しい者どちらを好むかを測定。②美術教育で大切にしたいものを3つ選ぶ。③「リサイクル工作」の定義をする。といったものである。結果としては、プレテストではは「価値を失った材料を再び利用する」「作る活動によって生活に役立つものに変える」「廃棄物の使用による資源の節約と環境保護」の 3 つのカテゴリーで構成され,リサイクル工作の定義を「不用品を再利用し,造形活動を通じて有用なものを作ること,且つ資源の開発及び環境保護もできる」とされていた。一方、ポストテストでは「今日の活動の感想」「不用品を使い資源の節約をする」「リサイクル工作の価値」「想像力を発揮し日常生活に関わる」という 4 つのカテゴリーに分類でき,リサイクル工作の定義は「想像力を働かせて不用品を利用し資源の節約などの生活に関わることからリサイクル工作の価値を改めて感じる」とされていた。これより、リサイクル工作の定義が価値を含んだものへと変化していることが分かり、プログラムの有効性が証明された。
【感想】
環境意識の変化を検証している論文は少なかったため、興味深く拝見させていただきました。そういった中で、「リサイクル工作」の定義を記述させ、その変化によって意識の変化を見つけるのは面白かった。以前読んだ論文にも、調査対象者の発言の中にある単語をすべてリストアップし分析していたものもあったことを思い出した。Nature to Futureでも、そのイベントの有効性を示すことによって、継続的な活動にしていきたいと考えている。
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