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『ラムサール条約湿地のブランド化と持続可能な利用: 「ワイズユース」の定着に向けて ―』

著: 林健一(2016) 中央学院大学社会システム研究所紀要より


要旨

近年、地域ブランドへの関心と期待が高まっている。


ブランド化の手法の1つとして、ラムサール条約湿地への認定を通した観光資源化が挙げられる。この論文では、ラムサール条約湿地の地域特産品(農作物など)による地域資源づくりに焦点が当てられている。

具体的には、冬期湛水水田〈冬でも田んぼの水を抜かず(=湿地化)、生息する生き物の環境維持に資する水田のこと〉によるブランド米づくりを考察している。

筆者は、この事例を通して、地域政策学の観点から「どのように地域ブランド化に着手すべきか」について叙述している。

 

結論として、筆者は

 「地域ブランド化にあたっては、人為による否定的な変化をもたらさない方法や

 速度による、湿地の持続可能な形での取り組み(観光地化など)のみ容認しえる」

と指摘している。


ラムサール条約に認定された湿地を過度に利用しないこと、環境に負の影響を与えないように工夫(生態系保全・交通入場規制など)しつつ、現地を商品化することが、湿原環境を守るためには不可欠である。


ラムサール条約

1971(昭和46)年イランのラムサールにおいて採択され、1975(昭和50)年に発効した条約であり、特に「水鳥の生息地等として国際的に重要な湿地及びそこに生息する動植物の保全を促進することを目的」とした条約である。


感想

湿地の整備・維持にはお金が必要であり、その経費は、湿地がもたらす収益から捻出することが望ましいと言えます。


とはいえ、その実現には様々な課題があります。


生態系・湿地保全と経済事情を天秤にかけた際、多くの場合後者が勝ってしまいます。

例えばWWF(世界自然保護基金:国際的なNGO)などは、生物多様性が与える経済利益を貨幣単位で算出していますが、一般の地方自治体では、そこまで算出する余裕がないのが現状です。


皿池湿原では、現在、収益獲得につながる催しはほとんど実施されていませんが、今後なされる場合に備える必要があると思います。

生態系・湿地保全と経済事情。両方の追求を実現させられるよう、これからも勉強して参ります。


参考文献

・WWF 「生物多様性の重要性」(https://www.wwf.or.jp/biodiversity/about/consequence/)

2019/2/22 参照

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