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「国際教育協力における授業研究アプローチの可能性─ザンビアの事例をもとに─ 」(2020年4月日本語論文)

更新日:2020年7月4日

著者:馬 場 卓 也、中 井 一 芳

本稿ではアフリカ南部のザンビアという国を取り上げて、そこで行われている授業研究アプローチについて背景、実施方法、成果、課題など整理するとともに、今後の可能性について考察している。

 「質の高い教育を全国へ普及させる」ことは、各国の教育開発において究極の目標といっても過言ではない。質の高い教育とは、一律の教育ではなく、生徒個々にそして地域ごとに異なる最善の教育のことを述べている。開発途上国においても、教育の質は重要な課題である。「万人のための教育」の実現に向けた一連の動きの中でも、教育の質の問題は量的拡大とともに緊要である。近年、開発途上国において、授業研究を導入する例が増えている。ザンビアにおける授業研究は、総じて「チョーク&トーク」といわれる知識伝達 型の授業から、子どもの思考や活動を促す参加型の授業への転換を図る目的で実施されている。授業研究は1)課題やテーマの設定、2)教員の共同作業による研究授業の準備、3)研究授業の実施と参観、4)研究授業の反省会、5)反省を基にした授業案の改善、6)改善した授業の実施と参観、7)改善した授業の反省会、8)研修内容のまとめ、という8つの活動を含むサイクルで実施されている。授業研究が開始されて 3 年以上が経過したが、これらを通じた変容モデルとして、教員の指導技術の向上から、教員の研修に対する態度の変容、そして授業研究の積極的実施などが見られている。また、教員の技術向上により子どもの参加意欲や取り組みの姿勢にも変化が表れているそうだ。しかし、導入はしたが依然としてなんの変化も見えない学校もあるそうだ。学校管理職の理解やサポート、教員同士のチームワークが重要な要因としてあるため注意が必要である。

 これらの政策が機能するのは、学校という組織がある程度成り立っている場合に有効な手段であり、そもそも学校という組織自体が弱い国や地域での実施は難しいと思われる。そもそも学校に子どもが行けていない国や、先生がボイコットを起こしてしまうような国では厳しい。それこそ、最初に述べられていたように地域ごとに最善の教育、政策を実施していく必要があるだろう。

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