要旨
アジアは今世紀半ばには世界経済のハブになると位置づけられている。2016年の世界の国内総生産(GDP)に占める割合は40.9%で、2000年から11.5%増加している。2016年には、中国、インド、日本の3カ国がアジアの総生産の約70%を占めている。急速に増加しているアジアの人口は41億人であり、世界人口の55%に相当する。アジアが2050年までに世界のGDPの半分以上を占めるようになるためには、高等教育機関の質、多様性、自律性を高めなければならない。そのため、アジアは、欧米先進国との伝統的な国際協力と、周辺アジア地域の新興国との国際協力という2つのパターンのバランスをとりながら、戦略的な国際協力を行っていく必要がある。東アジアは、アジアの高等教育システムの最先端となっている。学生数が最も多く、世界クラスの大学の数が最も多く、STEM(科学、技術、工学、数学)分野の学生の割合が高い。アジアの20大学(オーストラリアを除く)が世界のトップ200大学にランクインしている。
東アジアの多くの国で初等・中等教育へのアクセスの拡大に成功したことで、高等教育へのアクセスに対する社会的な需要が急増しています。初等・中等教育は基本的な識字能力、計算能力、その他の重要なスキルの基礎を学生に提供する一方で、高等教育は現代の職場で活躍するために必要な深みと柔軟性を提供している。高学歴者が社会的・経済的発展に果たす重要な役割を考えると、高等教育への投資は公益性が高いと考えられている。初等、中等教育、高等教育、3つの教育レベルの適切なミックスを達成することである。
感想
東アジアが実は高等教育の国際協力に魅力的な地域とは知らなかった。東アジアには日本をはじめとして、シンガポール、中国、韓国、マカオ、香港など世界で優秀な人材を生んでいる。その中で高等教育に着目しているのは面白かった。せっかく自由な国際資金、能力ある人材があるならば学生のアイデア、戦略を発表する場や交流は効果的に決まっている。もちろんお金や研究の質も問われる話だが。実施できない、初等教育すらままならないアジアの国もある問題も超える必要がある。
とはいえ教育投資がいかに経済のために大きな貢献になることは再確認した。
国際的な大学間の提携は、留学生を惹きつけ、国際的な提携を深めることで、人口動態の影響を相殺する戦略を構築する方法でもある。しかし、国によっては労働者とアジアの労働市場が一致しない可能性もある。提供するプログラムと研究の関連性が問われてくる。
現状ではスキルベースの教育で対応していたが、より質の高い研究や経済を大きくするには、更なるステップに行く必要性は言うまでもない。
質に関しては、公立・私立を問わず、恵まれない環境にある学生を含むすべての学生が平等に高等教育を受けられるようにするものである。政府だけでは十分な高等教育の機会を提供することはできないが、国際協力を通じて開始された教育プログラムの質や水準を監視するための政策や戦略を策定することは可能である。
そして、経済・社会の発展は、大学が潜在的に重要な役割を果たしているため、高等教育の
大学は、研究開発の実施や知識経済のための労働者を養成する役割を果たすことで、それが実現される。アジアでは、国際競争力を高めるためにはイノベーション能力が不可欠であり、欧米の大学制度はこの点ではるかに優れているとの見方が広まっている。このように、国際的な高等教育プログラムは、革新性の格差を埋めるための足場となる。
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